電気と電子のお話

8. インターフェース

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8.2. 各種のインターフェース

8.2.(3) ネットワーク

8.2.(3-F) 光ファイバ伝送

8.2.(3-F-a) 概要

◆  光ファイバ伝送 は、光ファイバケーブルを利用した伝送です。光ファイバの原理については、すでに、7.1(2-B-c) で、説明しました。図 7.1-21 に示したように、光は、コア内を、コアとクラッドとの境界面で、全反射を繰り返して、進みます。
◆  また、光ファイバ伝送の概要についても、コラム 7.2-3 で、述べています。
ここでは、さらに詳細について、解説します。先ず、光ファイバ伝送と、電気式の伝送とを、比較してみます(図 8.2-110)。図から分かるように、光ファイバ伝送は、電気式伝送と比べて、性能的には、高速大容量 の点で、優れていますが、施工性の点では、劣ります。

[図 8.2-110] 光ファイバ伝送と電気式の伝送の比較

項目 光ファイバ伝送 電気伝送

伝送速度 より高速 より低速
伝送距離 より長距離 より短距離
減衰の周波数特性 フラット 高周波で減衰
耐ノイズ性 強い 弱い


接 続 面倒・高価 容易・安価
分 岐 面倒・高価 容易・安価


◆  なお、光を利用した伝送には、光ファイバ伝送の他に、光空間伝送が、あります(コラム 8.2-17)。
光ファイバの材質には、石英が多く使われています。しかし、通常の石英には、不純物として、水分が含まれているために、その透明度は、余り高くありません。光ファイバの歴史は、高純度石英開発の歴史です(図 8.2-111)。1970 年に、コーニング社が、当時としては、驚異的な、低損失の材料を開発したことによって、光ファイバ伝送が、実用化されました。

[図 8.2-111] 低損失光ファイバ開発の歴史

低損失光ファイバ開発の歴史
8.2.(3-F-b) 光のモード

◆  光は電磁波ですから、波動の性質を持っています。波動の性質の一つに、干渉があります。
干渉によって生じる現象の一つに、回折があります。光は、直進する性質がありますが、回折によって、光が曲がります。回折によって、光が曲がる角度は、光の波長によって、異なります。
◆  この、回折によって、光の波長に応じて、光が曲がる角度が異なることを、利用したものが、回折格子 (グレーティング )です(図 8.2-112)。プリズム は、光の波長によって、光の屈折率が異なることを利用して、光を分けています。回折格子は、この、プリズムと、同じ働きをします。

[図 8.2-112] 回折格子

回折格子

◆  光ファイバにおいても、光の干渉があります。ただし、回折ではなく、別の現象です。光ファイバでは、光の干渉によって、ある特定の角度の光だけが、互いに強め合って、遠くまで届き、その他の角度の光は、互いに弱め合って、減衰してしまいます。
◆  この強められて、遠くまで届く光は、何種類かあり、これを、モード 、といいます(図 8.2-113)。モードの言葉は、いろいろな分野で、それぞれ異なった意味に、用いられています(コラム 6.1-3)。光のモードは、図に示すように、光が光ファイバの中を通る角度が、最も小さいものを、モードゼロとし、以下順に、モード 1、モード 2 ・ ・ ・ と、いいます。

[図 8.2-113] 光のモード

光のモード

◆  光ファイバのコア径が細い(5〜15 μm)ときは、モードゼロの光だけしか通りません。このような、光ファイバを、シングルモード 光ファイバといいます(図 8.2-114)。
コアの直径が太いと、複数のモードの光が通ります。これを、マルチモード 光ファイバと呼んでいます(図の(a))。なお、この図では、分かり易いように、シングルモード光ファイバを、直線で表していますが、実際には、図 8.2-113 に示したように、反射を繰り返して進みます。この意味では、マルチモード光ファイバと同じです。反射する角度が、一種類だと、いうことです。

[図 8.2-114] モードの違いによる光ファイバの種類

モードの違いによる光ファイバの種類

◆  で、グレーデッドインデックス 形というのが、あります。これは、コアの屈折率が、一様でなく、図 8.2-115 に示すように、同心円状に、分布しているタイプです。

[図 8.2-115] グレーデッドインデックス形

グレーデッドインデックス形

◆  グレーデッドインデックス形光ファイバは、光の屈折率が、連続的に、変化しています。このような場合には、光は、どのように進むのでしょうか。
蜃気楼は、魚津が有名ですが、蜃気楼は、空気の屈折率が、一様では無い条件のときに、発生する現象です(図 8.2-116)。図で、青色の濃さは、空気の密度を示します。物質の屈折率は、その密度に関係します。

[図 8.2-116] 蜃気楼

蜃気楼

◆  グレーデッドインデックス形光ファイバは、コアの密度、したがって屈折率が、その、中心ほど、高くなっています(図 8.2-115)。光は、のように、曲線状に、進みます。
この結果、マルチモード光ファイバよりも、光の経路が短くなり、かつ、そのバラツキも小さくなります。光ファイバの性能は、マルチモード光ファイバと、シングルモード光ファイバとの、中間です。

8.2.(3-F-c) 光ファイバの種類とその特性

◆  光ファイバの種類は、いろいろな分け方が、ありますが、大別すると、図 8.2-117 のように、なります。

[図 8.2-117] 光ファイバの種類

光ファイバの種類


光ファイバの種類

◆  マルチモード光ファイバでは、光は、コアの中を、図 8.2-114 (a)に示したように、進みます。モードの違いによって、光が進む実距離が異なりますから、光ファイバの出口では、モードによって、時間に ずれ が生じます(図 8.2-118)。

[図 8.2-118] マルチモードにおける光の進み方

マルチモードにおける光の進み方

◆  このため、光ファイバの入り口に方形波のパルスを加えても、出口では、波形が広がってしまいます(図 8.2-119(a))。したがって、互いに接近したパルスは、重なり合って、識別できなくなって、しまいます(図の(b))。

[図 8.2-119] マルチモードにおける伝送距離の制約

マルチモードにおける伝送距離の制約

◆  ただし、電気ケーブルと比較すると、光ファイバの伝送距離 は、大幅に、長くすることが、できます(図 8.2-120)。これが、光ファイバケーブルの特徴です。

[図 8.2-120] 光ファイバと電気ケーブルの損失の比較

光ファイバと電気ケーブルの損失の比較

◆  シングルモード光ファイバは、図の範囲では、信号周波数による損失の増大は、ありません。マルチモード光ファイバは、シングルモード光ファイバよりも、高速、長距離の伝送が、可能です。
◆  しかし、シングルモード光ファイバにも、限界があります。
波長分散という、現象があるからです。光ファイバは、光の波長によって、光ファイバ内を進む光の速度が異なります(図 8.2-121)。この現象を、波長分散 といいます。

[図 8.2-121] 波長分散

波長分散

◆  波長分散を防ぐために、光ファイバでは、狭帯域の光を使用します。最も簡易には、光源に、発光ダイオードを用います。更に、必要に応じて、発光ダイオードよりも、帯域幅が狭い、レーザー光を使用します。レーザー光は、単一周波数と言われていますが、帯域幅がゼロではありません。レーザー光でも、波長分散が、発生します。
◆  波長分散の大きさは、光の周波数によって、変わります(図 8.2-122)。図から分かるように、シングルモード光ファイバ(a)は、損失が小さい光の波長、1.55 μ (図 8.2-111 参照)での波長分散は、小さくありません。分散がゼロであることと、低損失とが、両立する光ファイバが望まれます。これを実現したのが、ゼロ分散光ファイバ (c)です。

[図 8.2-122] 光ファイバの種類による波長分散の大きさ

光ファイバの種類

◆  ところが、ゼロ分散光ファイバ(c)にも、問題があります。
光ファイバは、1 本のファイバに、光の波長を変えて、多重化することが、できます。これを波長多重化と呼んでいます(図 8.2-123)。

[図 8.2-123] 波長多重化

波長多重化

◆  この波長多重化は、低損失の、光の波長 1.55μm 帯が使用されています(図 8.2-111 参照)。
波長多重化で、互いに波長が接近した複数の光を通し、かつ波長分散がゼロであると、非線形光学効果という現象が発生して、伝送容量が低下してしまいます。この現象を防ぐために、分散がゼロになる点を、若干ずらした、ゼロ分散シフト光ファイバ(b)と呼ばれる、光ファイバを、使用します(図 8.2-122)。
◆  波長多重化を利用すると、たとえば、1.49μm帯、1.55μm帯および 1.58μm帯の 3 波長を使用し、40 G ビット/秒の波長を 273 波多重して、10.9 T ビット/秒(T は 103 G、コラム 2.1-3)の信号を、約 100 km 伝送することが、できます。
家庭用の、ビデオ画像のやり取りには、約 10 M ビット/秒の伝送速度が、必要です。上記の 10.9 T ビット/秒は、約 16 万世帯分の伝送が可能な、伝送容量です。

8.2.(3-F-d) プラスチックファイバ

◆  光ファイバには、フラスチック製のものが、あります。性能的には、石英ファイバに、遠く及びませんが、安価で、かつ、施工性が良いので、簡易な用途(ディジタル家電インターフェース、ホームネットワーク、カーネットワーク など)に、用いられています。
この用途からも、分かるように、短距離用であり、長距離には向きません。石英に比べ損失が大きいからです(図 8.2-124)。図の特性から分かるように、光の波長は、可視光が使用されます。

[図 8.2-124] プラスチックファイバの損失

プラスチックファイバの損失

◆  また、最近では、高性能のプラスチックファイバが開発され、次世代の LAN である、10 ギガイーサネット(伝送速度 10 G ビット/秒のイーサーネット)に使用可能なものが、あります(現在の LAN は、幹線で 1 G ビット/秒、支線で100 M ビット/秒が、主流です)。
なお、プラスチックファイバは、伝送用のほかに、光を使用した装飾用に、利用されています。ただし、この装飾用は、伝送用とは、異なる製品です。
◆  プラスチックファイバにも、ステップインデックス形のほかに、グレーデッドインデックス形に相当する、マルチインデックス形があります(図 8.2-125)。グレーデッドインデックス形よりも、安価にできます。

[図 8.2-125] マルチインデックス形

マルチインデックス形      マルチインデックス形
8.2.(3-F-e) 耐ノイズ性

◆  光ファイバ伝送は、電気ケーブルと比較して、ノイズに強いことも、大きな特徴です。電気式伝送は、便利に利用できるという、特徴がありますが、反面、ノイズに弱く、ノイズによって誤差や、誤動作を引き起こすという、大きな欠点もあります。
◆  光ファイバ伝送は、電気式伝送に、施工性の点では、劣りますが、電気式に比べて、高速大容量の点と、対ノイズ性の点で、大きく、勝っています。
先ず、光ファイバ伝送の、耐ノイズ性 について、解説します。
◆  電気がノイズに弱い理由の、最も大きな要因は、互いに電気的に絶縁されていても、誘導によって、その絶縁体を通して、ノイズが伝わってしまう、ことにあります。これに対して光は、遮光 が容易です(図 8.2-126)。

[図 8.2-126] 光は遮光が容易である

光は遮光が容易である

◆  光が、ノイズに強い理由として、一般に言われているのは、上記の理由ですが、実は、もう 2 つ、光がノイズに強い理由があります。
◆  第 1 は、2 つの電気回路を絶縁する効果です。絶縁の手段の一つとして、フォトカプラが、あります。光ファイバ伝送は、このフォトカプラによる絶縁と同じことです(図 8.2-127)。

[図 8.2-127] フォトカプラ絶縁と同じである

フォトカプラ絶縁と同じである

◆  光ファイバ伝送の、耐ノイズ性は、図 8.2-164 の効果よりも、この図 8.2-127 の効果の方が、実際には、大きいのです。
◆  第 2 には、光ファイバ伝送では、実用範囲の周波数特性が、フラットなことです。これに対して、電気式伝送では、伝送距離が長いと、伝送路の周波数特性による波形歪みが、無視できません(図 8.2-120)。したがって、光ファイバ伝送では、周波数特性に起因する波形歪みが、ありません。これも、光ファイバ伝送の、有利な点です。

8.2.(3-F-f) 光部品と施工

◆  施工性 については、光ファイバ伝送は、電気に劣ります。
この欠点を補うために、各種の光部品、工具、工事方法などが、いろいろと、工夫されていますが、電気配線には、及びません。
◆  先ず、接続ですが、電気配線では、電気的に、十分低いインピーダンスで接続されていれば良く、その形状は、問いません。しかし、光ファイバでは、各種の ずれ が生じないように、寸法的に、正確に突合せ ることが、必要です。ずれがあると、損失が発生します(図 8.2-128)。

[図 8.2-128] 突合わせにおける各種の損失

突合わせにおける各種の損失

突合わせにおける各種の損失

突合わせにおける各種の損失

◆  光ファイバの接続 方法は、融着 と、コネクタによる接続との、2 通りの方法があります。電線のハンダ付けに対応するのが、融着ですが、正確に付き合わせるための、融着機が必要です(図 8.2-129)。

[図 8.2-129] 光ファイバ融着機

光ファイバ融着機

◆  光ファイバ用の光コネクタ (図 8.2-130)は、電気のコネクタよりも高価であり、施工に、技術が必要です。また、接続個所に、接続損失 を見込む必要もあります。

[図 8.2-130] 光コネクタ

光コネクタ

◆  接続よりも、更に、面倒なのが分岐です。分岐そのものは、光分岐コードを使用すれば、ユーザにとっては、コネクタ接続と同等の施工性が、得られます(図 8.2-131)。図の右は小形光分岐器です。

[図 8.2-131] 光分岐コード

光分岐コード       小形光分岐器

◆  電気のバスでは、大幅に減衰させること無く、多数の分岐を取ることが、できます(コラム 7.2-5)。しかし、光ファイバでは、そのような訳には行きません。分岐によって、分岐数が n のとき、光強度が 1/n に落ち、更に光分岐コード自体の減衰分だけ、減衰します
◆  減衰を許容できるときは、光スターカプラを使用することができます(図 8.2-132図 8.2-133)。光スターカプラ は、ある方向から入ってきた光を、他の全ての方向に、分岐します。アクティブ スターカプラ は、信号を増幅する増幅器を内蔵しています。アクティブ スターカプラに対して、通常の光スターカプラを、パッシブ スターカプラ ともいいます。

[図 8.2-132] 光スターカプラ

光スターカプラ       光スターカプラ


[図 8.2-133] 光スターカプラの使用例

光スターカプラの使用例

◆  T カプラ (3 方向の光スターカプラ)を使用して、電気のバスと、同様の形態にすることも、できます(図 8.2-134)。

[図 8.2-134] T カプラによるバス構成

T カプラによるバス構成

◆  光アイソレータ は、光を、一方向だけに通過させ、逆方向を阻止する素子です。発光素子である、半導体レーザ (LD )や光アンプ (光増幅器 )は、出力した光が、反射などによって、戻ってくると、動作が不安定に、なります。光アイソレータ によって、戻り光を阻止します(図 8.2-135)。

[図 8.2-135] 光アイソレータ

光アイソレータ       光アイソレータ

◆  光データリンク は、電気信号と光信号とを相互変換するモジュールです(図 8.2-136)。一般的なタイプは、プリント基板実装形で、TTL レベルでインターフェースします。光側は、通常、光コネクタです。

[図 8.2-136] 光データリンク

光データリンク


[コラム 8.2-17] 光空間伝送

★ 空間は、物が何も存在しない、空いている所です。上下四方の無限のひろがりを、いう場合もあります。
哲学では、時間とともに物体を成立させる基礎的な概念であって、物体のすべての中身を取り去った後に、残される場のことです。

青空

★ 空間は、初等数学では、三次元ユークリッド空間を、高度の数学では、集合の同義語として、また、位相空間、n次元ユークリッド空間、確率空間などの略称としても、用いられています。
★ 物理学では、空間は、物質が存在し、現象の起こる場所のことで、上記第一の意味とは、逆になっています。
★ 光空間伝送 は、互いに見通せる空間を、光で伝送します。なお、光といっても、通常は、赤外線(近赤外線)です。ビルとビルとの間など、やや離れたところにも、用いられています。

遠距離用光空間伝送装置の送信機

遠距離用光空間伝送装置の送信機

★ しかし、光空間伝送は、上の例よりも、もっと身近な ところに、多く使用されています。

光空間伝送の利用例_   光空間伝送の利用例_   リモコン_

★ の左は、駅のホームの状況を監視するために、ホームに設けられたビデオの撮像器 で撮影したホームの状況を、電車の運転席内のモニタで、監視しているところです。
の中は、ホームシアターに光空間伝送を使用した例です。配線が無いので、配置の自由度が高く、模様替えも、容易です。
★ リモコン(の右)にも、光を使用しているものが、あります。携帯電話の中にも、リモコンの機能を持った機種が、あります。

携帯電話のリモコンの機能





[コラム 8.2-18] ドライとダーク

★ ドライは、ウェットの反対語で、乾いた ということですが、あからさまな、飾り気の無い、退屈な、不毛の などの意味もあります。
酒に関しては、禁酒を意味しますが、辛口のビールや、辛口のワインなどにも、ドライの言葉が、用いられます。
★ ダークは、暗い のほかに、秘密の、隠れた、陰気、未開 などの意味があります。劇場で、緞帳が降り、開演前の状況や、映画などの、開始前の暗転も、ダークといいいます。

ビール

★ 電話回線は、元々は、銅のメタル回線でしたが、最近では、光ファイバが多くなっています。電話回線は、重要なインフラですから、十分な余裕を持って、敷設されています。したがって、未使用の回線が、多数あります。
★ この、未使用のメタル回線のことを、ドライカッパ 、未使用の光ファイバを、ダークファイバ といいます。回線は、一般に多重化されていますが、多重化された回線の、空き部分も、ドライカッパ、ダークファイバと呼んでいます。
★ 電話回線は、通信事業者が、所有しています。
米国では、ドライカッパやダークファイバは、別の通信事業者に対し、回線の提供を行なうことが義務づけられています。このためも あって、米国では、ADSLなどを使ったブロードバンド通信が、早くから、本格化しています。
★ これに対して、日本では、NTT が、ドライカッパを提供し始めたのは、1999 年 12 月、ダークファイバは、2000 年 12 月になってからです。日本の通信環境の整備が、米国と比較して、大きく遅れたのは、この辺の事情が大きいと、考えられます。
★ 日本で最初の ADSL は、長野県の川中島有線放送が、1999 年 9 月に、有線放送回線を使用して開始した、サービスです。自前の回線ですから、ドライカッパの開放を待たずに、サービスを開始することが、できた訳です。

川中島有線放送

★ 有線放送や、ケーブルテレビ などを別とすれば、NTT を除いて、日本の通信事業者の、多くは、各戸に接続する 通信回線を、持っていません。したがって、末端の回線を含んだサービスを行う場合には、NTT のドライカッパを、借りることになります。
★ 日本テレコムの「オトクライン」や、チョッカ(平成電話)などは、NTT のドライカッパを、ソフトバンク BB の「YahooBB 光」などは、NTT のダークファイバを利用した、サービスです。
★ なお、「YahooBB 光」は、ギガ BB と称していますが、これは、ユーザ宅までの、回線の仕様であり、モデムは、100 M ビット/秒です。すなわち、ユーザにとっては、図に示すように、最大で、100 M ビット/秒のサービスです。

オトクライン    平成電話    YahooBB 光





[コラム 8.2-19] IP 電話と電話網の IP 化

★ IP は、2 文字略語ですから、いろいろな意味があります。その一つに、知的財産が あります。知的財産 は、無形の財産ですが、重要な、財産です。

知的財産

★ さて、最近では、電話の IP 化が進んでいます。電話の IP 化の IP は、TCP/IP の、IP です。IP 化された電話のことを、IP 電話 と呼んでいます(IP 電話の詳細については、[ここ]をクリックしてください。戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。
★ 従来の電話網は、交換機によるネットワークです。これに対して、IP 電話は、インターネットの、インターネット層(IP 層)のプロトコルを使用して交換機能を実現しています。音声を、IP 層で送っていることから。VoIP (ボイスオーバーインターネットプロトコル)と呼んでいます。下図は、VoIP を含み、IP ネットワークが、いろいろな用途に利用されていることを、示す図です。

VoIP

★ IP 電話が、IP 電話だけの閉じたシステムでは、利用価値がありません。IP 電話は、従来の電話網とも、通話できます。

従来の電話網とも通話できる

★ IP 電話の電話番号は、IP 電話用の番号が、割り当てられています。IP 電話を含む、電話番号の体系を示します。図から分かるように、IP 電話は、050 から始まる番号です。

電話番号の体系

★ 徐々に改善されてきていますが、IP 電話には、まだ制約があります。たとえば相互接続の制約があります(詳細は、[ここ]をクリックしてください)。ただし、従来最も問題であった、110番(警察)、118番(海上保安庁)、119番(消防)の緊急通報 の利用は、可能になりました。
★ 従来の電話を、併用する場合は、問題ありませんが、従来の電話を廃止して、IP 電話に切り替えるとき、大きな問題が、番号のポータビリティです。IP 電話は、従来の電話からのポータビリティが、ありません。
ただし、KDDI 光プラスの IP 電話サービスである光プラス電話は、これまで使っていた電話番号が、そのまま使えます。緊急通報も可能です。

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