電気と電子のお話

8. インターフェース

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8.1. インターフェースの概要

8.1.(1) インターフェースとは

8.1.(1-A) データ伝送とデータ通信

◆  第 7 章では、信号について、お話を進めてきました。この章では、話題を変えて、インターフェースに関する、お話です。
◆  2 つのもの、があって、その 2 つのもの、の間で、情報のやり取りをするとき、そのやり取りする部分のこと、またはやり取りすることを、インターフェース といいます(図 8.1-1)。インターフェースは、広義には、情報のやり取り、だけでなく、情報以外のもの、たとえば、水を送る場合にも、インターフェースと言えなくは、ありませんが、通常は、情報の、やり取りのことだけを、インターフェースと呼んでいます。

[図 8.1-1] インターフェースとは

インターフェースとは

◆  3 つ以上のものが、互いにやり取りする、システムの中から、2 つの間のやり取りを、抜き出して考えるときは、インターフェースです。しかし、システムを、全体として考えるときは、インターフェースとは、呼ばないで、ネットワーク と呼んでいます。回路網のことも、ネットワークといいますが、回路網は、回路レベルのネットワークです。これに対して、ここのネットワークは、システムレベルのネットワークです。
◆  ネットワークには、いろいろな形のものが、あります(図 8.1-2)。このような、ネットワークの外形のことを、ネットワークトポロジ (トポロジ )といいます。代表的なトポロジは、図に示すように、スター 形、トリー 形、バス 形、ループ 形(リング 形)、の 4 つです。

[図 8.1-2] ネットワークトポロジ

ネットワークのいろいろ

◆  インターフェースでは、データのやり取りをしています。データの定義は、難しくいうと、
   (a) 立論の材料として集められた、なんらかの判断を導く情報を内包している事実
   (b) コンピュータで、プログラムを運用できる形に記号化・数字化された資料
ということのようですが、要するに、データ とは、なにか、元になる事実や資料、ということです。
コンピュータの分野でも、データの定義は、上記の通りですが、もっと、砕いていうと、プログラムに対する言葉として、プログラムで利用する資料が、データということです。
◆  データと似た言葉に、情報があります。夫々の定義は異なりますが、あまり、言葉の詮索をしても、意味がありません。常識的に解釈して、区別して使えば、良いでしょう。
◆  伝送、通信という言葉もあります。伝送 は、送るという意味で、通信 は、互いにやり取りするという意味があります。インターフェースは、データを送るという立場で眺めると、データ伝送 です。また、互いにやり取りするという面を捉えると、データ通信 ということになります。
◆  しかし、実際に、このように、用語を区別して使い分けることは、していません。データ伝送と、データ通信とは、通常、同義語として使っています。インターフェースも、この意味では、テータ伝送やデータ通信と、同義語です。しかし、インターフェースは短距離、データ伝送とデータ通信、とくにデータ通信は、長距離という、語感があります。
◆  この章のお話は、狭い意味のインターフェースだけではなく、データ伝送や、データ通信を含む、広い範囲の、お話です。

8.1.(1-B) ユーザーインターフェース

8.1.(1-B-a) ユーザーインターフェースとは

◆  インターフェースは、いろいろな立場から分類できます。何と何とのインターフェースかという点から、大きく分類すると、図 8.1-3 のように、なります(図で、ハードウェア、ソフトウェアは、コラム 6.3.-2 参照)。

[図 8.1-3] 何と何とのインターフェースか

何と何とのインターフェースか

◆  ユーザーインターフェースという、言葉があります。ユーザーインターフェース とは、もの を使うユーザーと、ユーザーに使われる もの とのインターフェースのことです。すなわち、図 8.1-3 の、(3) ハードウェア〜人 と、(5) ソフトウェア〜人 とのインターフェースが、ユーザーインターフェースです。

8.1.(1-B-b) ユースフルネス

◆  ユーザーインターフェースは、対象となっている もの の使いやすさ に直結します。どんなに機能が優れた製品であっても、ユーザーインターフェースが悪いと、その製品は、ユーザーに受け入れられません。当然メーカーは、使いやすさを考えて、製品を設計していますが、時として、ユーザーとメーカーとの間に、ギャップが生じることがあります(図 8.1-4)。

[図 8.1-4] メーカーとユーザーとのギャップ

メーカーとユーザーとのギャップ

◆  ユーザーインターフェースは、ユーティリティ とユーザビリティ との、総合として、評価されます(図 8.1-5)。ユーティリティとユーザビリティとを、総合評価したものを、ユースフルネス といいます。

[図 8.1-5] ユースフルネス

ユースフルネス

◆  ユースフルネスのうち、ユーティリティ (実用性 )は、説明しなくても、大体分かると思います。

8.1.(1-B-c) ユーザビリティ

◆  ユーザビリティ (下位のユーザビリティ)(図 8.1-5)は、要するに、使いやすさ、ということです。もう少し具体的にいうと、ある利用者が、ある目的を達成するときの、効果、効率、満足感ということです。 下位のユーザビリティを、具体例で考えて見ましょう。
◆  [例 1]    図 8.1-6 は、天気予報の表示です。これを見る人の多くは、どこに警報、注意報が出ているかを見たいのではなく、自分が住んでいる地区に、警報、注意報が出ているか、いないか、を見たいのです。であれば、(1)よりも、(2)の方が、優れています。表示されている内容が同じであっても、どういう目的で見るか、ということによって、表の構成が異なります。

[図 8.1-6] 天気予報の表示

警報、注意報     警報、注意報

[例 2]    図 8.1-7 は、スプーンの例です。使いやすさの観点から、食べるものの種類によって、3 種類のスプーンを使い分けられるように、なっています。ただし、この場合、使いやすくするためには、3 つ用意しなければなりませんから、コストが掛かります。

[図 8.1-7] 使いやすいスプーン

使いやすいスプーン

[例 3]    図 8.1-8 は、ビデオの録画予約の画面です。新聞のテレビ番組表に、似せて作られています。新聞のテレビ番組表は、見慣れています。この見慣れているものに、似ているということが、使いやすさ(見やすさ)に、繋がっています。
使いやすさは、慣れによっても、作られるのです。慣れているものは、容易に受け入れられますが、慣れていないと、戸惑います。

[図 8.1-8] ビデオの録画予約の画面

ビデオの録画予約の画面

◆  慣れに関連して、統一性も重要です。一連のものが、統一性を欠くと、使い難く、なります。コンピュータOS (オペレーティングシステム )には、ウィンドウズ や、MAC リナックス などのユニックス 系、等がありますが、その中で、ウィンドウズが多く使われています。ウィンドウズが、多く使われるようになった一因は、「直感的な使いやすさ」と「統一されたインタフェース(GUI グラフィカルユーザーインターフェース )」 が大きいとされています。 ただし、詳細に見て行くと、ウィンドウズにも、統一性に欠けるところが、結構、あるのですが。
◆  グラフィカルユーザーインターフェースとは、画像を主体としたユーザーインターフェースです。パソコンが、使われはじめた頃は、CUI (キャラクターユーザーインターフェ−ス )、すなわち文字によるユーザーインターフェースでした(図 8.1-9)。グラフィカルユーザーインターエースを採用したことによって、(マウス の使用とも、あいまって)見やすさ、使いやすさが、格段と向上しました。

[図 8.1-9] キャラクターユーザーインターフェース

キャラクターユーザーインターフェース
8.1.(1-B-d) 操作性、認知性と快適性

◆  ユーザビリティは、また、操作性 認知性 快適性 という 3 つの側面を持っています。この 3 つに関連して、人間工学、認知工学、感性工学があります(図 8.1-10)。

[図 8.1-10] 操作性・認知性・快適性

操作性・認知性・快適性

◆  人間工学 とは、ひとことで言うと、道具や機械、環境などを人間に適したように設計することです。たとえば、手首の負担を軽くする道具の取っ手の形状、電車の長いすに 1 人分の領域を示すくぼみをつけてある、などがあります。図 8.1-11 は、目の錯覚によって、交差点で、相手の車が、止まっているように見えることを示しています。このような問題を取り扱うのが、人間工学です。

[図 8.1-11] 相手の車が止まって見える

相手の車が止まって見える

◆  認知工学 とは、人間を頂点とする全ての生物に備わっている、「外界を認知する」という情報処理の仕組みを明らかにして、それを人間の生活に、そして広くは生物全体のより良い生存に役立つよう、工学的に応用するものです(図 8.1-12)。

[図 8.1-12] 認知工学

認知工学

◆  感性工学 とは、人間の感性やイメージを物理的なデザイン要素に翻訳して、感性に合った商品を設計する技術です(図 8.1-13)。

[図 8.1-13] 感性工学

感性工学
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