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ビデオのシステムは、プロ用の高度なシステムが、多々あります。しかし、ここでは、家庭で、ビデオ を鑑賞する範囲の、お話です。動画像を録画するビデオカメラについて、解説します。
ビデオカメラの前身は、8ミリ フィルム によるカメラ です(図 9.1-145の左)。これは、フィルムですから、編集、保存には、大変な手間が、掛かります。その後、ビデオカメラが現れます。ビデオカメラ は、最初は、アナログ録画(図の中)でしたが、ディジタル方式に変わります(図の右)。
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ビデオカメラが発売された当初の、ソニーの8ミリビデオ (ベータ方式 )とコンパクトVHS (VHS方式 )の争いは、いまに残る語り草です。結果は、VHS の勝ちでした。
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現在では、ほとんどが、DV ディジタルビデオカメラまたは、DVD ディジタルビデオカメラです。形は、図 9.1-145 と比べると、スマートに なっています(図 9.1-146)。図の左がDV ディジタルビデオカメラ で、中がDVD ディジタルビデオカメラ です。また、DV ディジタルビデオカメラには、ハイビジョン仕様の、HDV ディジタルビデオカメラ が、あります(図の右)。普及率も示します。
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DV ディジタルビデオカメラと、HDV ディジタルビデオカメラの記録媒体は、DV テープ で、DVD ディジタルビデオカメラの記録媒体は、DVD 光ディスク です。しかし、単に記録媒体が、異なるというだけでなく録画の仕様そのものが、異なります。
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ここで、ビデオカセット の種類について、まとめておきます(図 9.1-147)。
◆ ビデオカメラの使い方を示します(図 9.1-148)。
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さらに詳しいビデオの使い方は、[ここ]をクリックして下さい。戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」で戻ってください。
ビデオカメラで撮影した影像は、テレビ受像機などで、再生します。ホームシアターを利用すれば、さらに、ベターです。
ビデオカメラの国内出荷台数と普及率を示して おきます(図 9.1-149)。
◆ ビデオは、また、映画の再録や、オリジナルの影像を、ビデオソフト の名で市販していています。レンタル もあります。
◆ 乗用車の普及(図 9.1-85 参照)に伴って、カーナビゲーション (カーナビ )も増加しています(図 9.1-150)。
◆ カーナビは、一口にいえば、自動車に搭載した地図 情報です(図 9.1-151)。しかし、単なる地図ではなく、その地図上に、自分の車が走行している位置を示したり、幹線道路の混雑状況を表示するなどの、機能を持っています。
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カーナビは、GPS (Global Positioning System:全地球測位システム )という、地球上空21000 km に打ち上げられた、人工衛星 から発信される、電波を受信して、動作します。3 個の衛星からの電波によって、自車の位置(緯度と経度)が分かります(図 9.1-151 の右)。4 個の衛星を利用すれば、さらに、高度が分かります。
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GPS は、電波を利用しますから、ビルの谷間、トンネル、高架下などでは、測位することができません。これを補うために、カーナビでは、車速パルス信号と、ジャイロセンサーを使用した、自律航法を併用しています。
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車速パルス信号 は、車の走行速度を検出しますが、これを積分することによって、車の走行距離が、算出されます。
また、ジャイロセンサー によって、車が曲がった方向を検出します。ジャイロ (こま )(図 9.1-152)は、回転しているときは、外力を加えなければ、一定の向きを保ち続けます。ジャイロのこの性質を利用して、ジャイロを搭載した物が、向きを変えたことを検出するのが、ジャイロセンサーです。
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上記によって、車の現在位置を知ることができます。しかし、ジャイロセンサーを搭載しただけでは、誤差が大きく、実用になりません。たとえば、車が海岸沿いの道路を走っているときに、海中を走っているように、表示されたりする、恐れがあります。これを防ぐために、マップマッチング によって、補正を行い、自車位置を、地図上の道路上に、強制的に表示させます。
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カーナビは、目的地を検索し、目的地と、目的地までの経路を、表示することが、できます。このとき、VICS と呼ばれるシステムを利用します。VICS は、VICS センター (財団法人道路交通情報通信システムセンター )が提供している、渋滞 や交通規制 などの道路交通情報 のことです(図 9.1-153)。VICS を利用することによって、渋滞個所を迂回するなどの、ルートを、選ぶことができます。
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VICS は、図に示すように、FM 多重放送 (NHK の FM を利用した広域通信方法)、電波ビーコン (主に高速道路に設置された通信方法)および、光ビーコン (赤外線を利用した通信方法で主要一般道路に設置)という 3 つの送信方法があります。それぞれに異なる受信機が必要です。
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カーナビには、地図情報などを収容するための、HDD や DVD などの記録装置を内蔵しています。カーナビは、また、テレビを見たり、オーディオを楽しんだりする などの、附加機能を有するものが、多くなっています。この附加機能のデータも、上記の記録装置を利用します。
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カーナビは、単なるカーナビではなく、車載情報端末 という性格が、強くなっています。
カーナビは、乗用車が主体でしたが、最近、トラックに利用されるようになってきました。トラックでは、道案内にカーナビを使用する必要性は、少ないのですが、運送業者が、トラックの位置や走行状況を、リアルタイムに掴むのに、利用されています。
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MD (ミニディスク )は、代表的な記録媒体 です。元々オーディオ用記録装置 として発売されましたが、後にコンピュータの記憶装置として使える、MD データ が発売されました。両者には互換性があります。
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一般に、記録装置の名称は、記録する記録媒体と同じ呼び方をする場合が、多いのですが、混同の恐れがあるときは、区別して呼ぶ必要が、あります。
MD は、光ディスクの一種ですが、光ディスク には、図 9.1-154 のような種類があります。
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ポータブル MD は、ポータブルな、装置ですが、多くは、再生専用です(図 9.1-155の左)。
ポータブル CD は、CD プレーヤー のポータブル版で、CD (コンパクトディスク )をそのまま使用することが、できますが、かさばります。
ポータブル MD は、持ち運びが、CD よりも 楽です。ただし、手持ちの録音済みの記録媒体が CD の場合には、ポータブル MD を使うために、CD から MD に、録音し直す必要があります。
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Hi-MD もあります(上図の右)。Hi-MD の大きさは、MD と同じですが、Hi-MD 1 枚に、CD 数十枚分のデータが、入ります。
DVD プレーヤー (図 9.1-156)は、記録媒体に、DVD を使用します。DVD は、CD と同じ寸法(直径 12 cm)で、記録容量は、CD の 7 倍(4.7 G バイト)です。パソコンの、標準メディア (記憶媒体)は、従来 CD でしたが、最近は、DVD になっています。
ポータブルの、DVD プレーヤーもあります(図の下)。
◆ 記録媒体に、フラッシュメモリを使う、携帯オーディオプレーヤー が、あります(図 9.1-157)。ポータブル MD などと比べ、小形軽量です。
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オーディオ については、定在波の立場から、コラム [7.2-4] で説明しました。ここは、オーディオ用の機器についての、お話しです。
しかし、コラムで述べたように、オーディオは、部屋の、壁、天井など、さらには、カーテンなどの、インテリアが、音質に、大きく影響します。音質を論じるときは、機器単体だけを考えることは、できません。
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昔は、オーディオは、蓄音機と、レコード (フルネームは グラモフォンレコード あるいはディスクレコード ですが、フルネームで呼ばれることは ほとんどありません)との組み合わせでした。レコードは、当初は、SP 盤 でしたが、LP 盤 や EP 盤 (ドーナッツ盤 を含む)などが、加わっています。記録も、当初の モノラル盤 にステレオ盤 が加わっています。
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ここでは、蓄音機 は、アンプを使用しない、機械式のものを、指します(図 9.1-158)。
◆ 最近では、アンプを使用した、オーディオセット (オーディオシステム )が、ほとんどです(図 9.1-159)。オーディオセットは、アンプ (図の中央)とスピーカー(図の両側)で構成されます。通常、図のように、スピーカーを 2 個設けた、ステレオになっています。
◆ オーディオセットの構成例を、図 9.1-160 に示します。図の例では、入力は、ディジタル放送と、DVD プレーヤーです。出力のスピーカーは、6 個ありますが、これについては、後述します。
◆ オーディオセットは、図のように、AV アンプを使用すると、簡単に構成することが、できます。AV アンプ と、その構成例を、図 9.1-161 に示します。
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イコライザーアンプ は、RIAA 補正を行うアンプです。レコードは、レコード針 の特性に合わせて、録音されています。したがって、正しい波形を得るためには、出力を補正する必要があります。この補正が、RIAA 補正 です。RIAA は、全米レコード協会 です。
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コントロールアンプ では、トーンコントロールとラウドネスコントロールを行います。
トーンコントロール は、高域(High)や低域(Low)を調整するための音響フィルターです。
人間の耳は、周波数特性が、あまり良くありません。音が小さい時には、低域と高域が良く聞こえなくなります。 このため音量が小さいときに、低域と高域を意識的に増幅させるのがラウドネスコントロール です。
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オーディオ製品の中には、オーディオセットのような、セット販売のものだけでなく、単品販売の、コンポと呼ばれる製品もあります。コンポは、コンポーネントの略ですが、コンポーネントとフルネームで呼ぶことは、ありません。
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コンポ とは、ステレオであって、チューナー・アンプ・CD プレーヤー・スピーカーなどが、それぞれ独立した製品になっていて、それれらの単品を、自由に選んで、組み合わせることの、できるものを いいます。チューナーとは、ラジオ、テレビ、ケーブルテレビなどを、コンポで、視聴するための、アダプターです。
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ただし、ミニコンポ と呼ばれるものは、コンポの名はついていますが、セットになっています。1 例を図 9.1-162 に示します。
◆ スピーカー は、オーディオの音質に、最も大きな影響を、与えます。しかも、エンクロージャー (箱)の影響が、大きいのです。しかし、あらゆる点で、理想的なエンクロージャーは、存在しませんから、いろいろな、形状、寸法のエンクロージャーが、あります。代表的な、エンクロージャーの形を図 9.1-163 に示します。エンクロージャーは、密閉形エンクロージャー(図の左上)と開放形エンクロージャー(その他)とに、分けられます。
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開放形エンクロージャー は、スピーカーの後面等からの回り込みの音圧が干渉して、低周波が制限されます。この影響を抑えるためには、回り込みの距離を大きくとる必要が、あります。開放形エンクロージャーには、バスレフ形スピーカー 、平面バッフルスピーカー 、ホーン形スピーカー が、あります。
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密閉形エンクロージャー では、この問題は、ありませんが、エンクロージャー内の空気の共振があります。共振周波数を低く抑えるためには、これも、エンクロージャーが、大きいことが、必要です。
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スピーカーは、定在波の影響もあります(コラム 7.2-4)。定在波が起こり難い形状または構造にします。
定在波が起こり易い形状とは、相対する並行な平面です。並行な平面には、壁面に吸音材を貼って、音の反射を防ぐ方法も、あります。
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スピーカーの基本は、1 つのエンクロージャーに、1 つのスピーカーユニットを入れたものです。これを、フルレンジスピーカー といいます(図 9.1-164)。
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これに対して、複数の、周波数帯域が異なるスピーカーを使用して、それぞれのスピーカーが、音域 (音の周波数範囲)を分担する方式があります。これを、マルチウェイスピーカー と呼んでいます。
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スピーカーは、口径が大きくなると、低音が良く出るようになり、逆に、高音が出にくく なります。フルレンジスピーカは、このバランスから、口径が、10〜12 cm 程度のものが、適当です。
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マルチレンジスピーカのときは、音域の異なるスピーカーを組み合わせて、広帯域をカバーします。帯域によって、次のような、スピーカーがあります。
(1) スーパーウーハー (サブウーハー ) : 最も低い音を出します(数 Hz〜数百 Hz)。ほとんどの場合、センターに 1 個のみ置かれます(図 9.1-165)。図の右は、周波数特性で、上側は、スーパーウーハー無し、下側は、スーパーウーハーを設置したときです。スーパーウーハーによって、低音部が、フラットになっています。
◆ (2) ウーハー : マルチウェイスピーカーのシステムスピーカーとして、ほぼ、確実に、設置されます(図 9.1-166)。周波数帯域は、数十 Hzから、数百〜数千 Hz で、ベースや人の声をなどを、再生します。
(3) ミッドレンジ (スコーカー ) : 千〜数千 Hz を再生します。スピーカーの形は様々で、ウーハーのようなコーン形のものもあれば、ホーンにより音を拡散していくものもあります。
(4) ツイーター : 鈴の音などの、高音域(数千〜20kHz)を再生します。図 9.1-167 は、ウーハー、スコーカーおよびツイーターの 3 種類のスピーカーを搭載したエンクロージャーです。1 つのエンクロージャーに、2 種類のスピーカーを載せたものを、2 ウェイスピーカー 、3 種類のスピーカーを載せたものを、3 ウェイスピーカー といいます。
◆ 家庭内に、AV (オーディオ ビジュアル)によって、映画館 の環境を、作り出そうというのが、ホームシアター です(図 9.1-168)。
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図に示すように、画面は、少なくとも、大画面テレビを使用します。前面投射形テレビを使用して、スクリーンに投影するのが、ベターです。音声は、サラウンド方式を使用して、臨場感を高めます。
オールインワンタイプの製品もあります(図 9.1-169)。
★ 王様の耳はロバの耳という、童話があります。この童話は、ほとんどの人が、知っていると思いますが、かなり教訓めいた、お話しです。そして、その後日談は、いくつかあります。
★ ところで、もし、本当に、王様の耳が、ロバの耳だったとしたら、どうでしょうか。馬の可聴周波数範囲は、人よりも、高い周波数を、感じますが、低い方の周波数では、人よりも狭くなっています(人 : 16〜20000 Hz、馬 :55〜30000 Hz、)(ロバのデータは見つかりませんので、馬のデータです)(コラム 8.2-3 参照)。
★ また、ロバは、耳(みみたぶ)が、大きく、かつ動かせることから、音源の方向を検知する能力も、高いと考えられます。犬は、32 方向を聞き分けることができます。人は、16 方向です。ロバのデータは、分かりませんが、人よりも、優れていると、思われます。
★ さて、視覚については、[コラム 9.1-4] 色の色色 で、お話ししました。今度は、聴覚 です。人の耳 は、下図のような構造になっています。
★ 耳介 は、音を集めたり、音源の方向を判断するための、重要な部分です。外耳道 は、中が わん曲していますが、この わん曲で、水や異物の侵入を防ぎます。
★ 鼓膜 は、音によって振動し、その振動を内耳に伝えます。
中耳 には、耳小骨と呼ばれる小さな 3 つの骨があります。耳小骨 は、鼓膜の振動を、効率良く内耳に伝えます。
耳管 は鼻咽喉 (鼻の奥)につながっており、大気と中耳とを同じ圧力に保ちます。
★ 内耳 には、蝸牛 と呼ばれる、かたつむり 状の器官があります。蝸牛は、音の周波数分析を行います。下図は、蝸牛を引き伸ばして、示したものです。
★ 耳は、左右に 2 つあります。これによって、音源の方向を検出することが、できます。
★ 一般的には、2 つの耳が、音の位相差や強弱を判断して、音の方向などを、認識している、といわれています。しかし、それほど単純では、無さそうです。ですが、ステレオ レコードなどは、この考えを基に、作られています。
★ ステレオでは、左右、それぞれの耳で聞いた音を録音し、それを 左右 2 つのスピーカーから出力します(下図左)。下図右は、モノラルです。
★ ステレオレコード は、1 本の音溝に、左右それぞれの耳用に、2 チャンネルの音を録音しています。そして、1 本の針で、それを検出します。この方式を、45/45 方式と いいます。
★ 単なるステレオではなく、音が、全ての方向から聞こえる 方式があります。この方式を、サラウンド方式 といいます。
★ 下図は、映画館などの、本格的な、サラウンドシステムです。
★ 家庭などでは、サラウンド方式は、スピーカーの数は、もっと少なく、下記に示すような、いくつかの方式があります。その中で、5.1 サラウンド方式 と呼ばれる方式が最も、本格的です(図の右)。
★ ホームシアターも、最近では、サラウンド方式になっています。