◆ 発電機 (ジェネレータ )は、電磁誘導を利用して、機械的エネルギ (仕事)から電気エネルギ (電力)を得る機械です。燃料電池は、電磁誘導の利用では、ありませんが、広義の発電機です。自動車やオートバイなどの、エンジンについている発電機は、オルタネータ やダイナモ とも呼ばれています(図 9.1-23)。
◆ 発電機は、構造が電動機とまったく同じですから、電車や、ハイブリッド自動車においては、電動機を発電機として利用して、ブレーキをかけるのに、使用します。ブレーキをかけるのに使用して、さらに電力が余るときは、発生した電力を、架線やバッテリに、戻す仕組み をもっています。これを、回生ブレーキ といいます。
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直流発電機 は、直流電力を発電する発電機です。一般には、整流子発電機 のことを、指します(整流子発電機の原理は、整流子電動機(図 9.1-3) 参照)。ただし、直流発電機は、交流発電機と整流器を組合わせたものを、指すこともあります。
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直流発電機も、直流電動機と同様に、巻線の方式によって、分けられます(図 9.1-24)。
◆ 交流発電機 には、同期発電機と、誘導発電機とが、あります。
◆ 図 9.1-26 の左側は同期発電機 、右側は誘導発電機 です。
★ 発電する動物といえば、第一に、思い浮かぶのは、電気うなぎ でしょう。電気うなぎは、650〜866 V の発電能力が あり、馬を倒すことが、あります。しかし、その電気うなぎも、長時間発電すると、くたびれて、停電する そうです。
★ 電気うなぎが発電するのは、外敵から、身を守るためと、小さな魚を しびれさせて、捕食するためです。
★ 電気うなぎ以外にも、しびれなまず、しびれえい など、発電する動物がいます。
★ さて、発電 は、そのエネルギー源によって、水力発電、火力発電、原子力発電が、あります。
水力発電 は、水の落差を利用した発電です。貯水の方法によって、流れ込み式、貯水池式、調整池式、揚水式に、分けられます。
★ 流れ込み式 は、川の水を、そのまま発電所に引き込んで発電する方法です。豊水期や渇水期など、水量変化で、発電量が変わります。
★ 貯水池式 は、調整池より規模の大きいダム で、豊水期に貯水し、渇水期に放流して発電する方法です。構造面ではダム式 (下図左)、ダム水路式 (下図右)がこの方法です。
★ 調整池式 は、調整池 に水を貯水することで、水量を調節し、発電する方法で、1日あるいは数日間の、発電量を、調整することができます。
★ 揚水式 (上図)は、発電所を挟んで上と下に調整池をつくり、電力需要の少ない夜間の電力を利用して、下から上へ水をくみ上げ、需要のピーク時に対応し、昼間に発電する方法です。すなわち、一定の水を繰り返し使用する方式です。電気は、大量に貯蔵することが、できないという、欠点があります。揚水式では、電気を、水の形に変えて、大量に、溜めておくことができます。
★ 水力発電は、以前は、日本の電力の主体でしたが、現在では、原子力を含む、火力発電に、主力の座を譲っています。コストも、原子力発電や火力発電よりも高くなっています。
★ 火力発電 は、燃料を、ボイラ で燃やし、そのエネルギーで発生する蒸気 によって、タービン を回して、発電します。原子力発電 は、燃料が原子力ですが、広義の火力発電に属します。
★ 発電所で発電した電力は、送電、配電を経て、需要家に届けられ、利用されます(コラム 2.2-8)。
★ 環境問題 との関連から、新エネルギーが、注目されています。新エネルギー とは、次に示すものです。
★ 太陽光発電 は、太陽電池で、太陽 エネルギーを、電気に変えます。
★ 風力発電 は、風車 で発電機を回します。
★ バイオマス発電 のバイオマス は、エネルギーの再生が、可能がであるという、大きな特徴が、あります。
★ ハイブリッド自動車 は、ガソリンエンジン と、電池による電動機の両方を搭載した自動車 です。100 % の電動車は、走行性能の点から、用途が限定されます。現状では、自動車の省エネ (省エネルギ )と環境対策 に、関しては、ハイブリッド自動車が、現実的な解と、思われます。
★ コジェネレーション は、発電機で、電気を作るときに使用する、冷却水や、排ガスなどの熱を、温水や、蒸気などの形で、同時に利用するシステムです。すなわち、温水は給湯や暖房に、蒸気は冷暖房、工場の熱源などに、利用することが、できます。
★ このように、コジェネレーションは、電気と熱を、無駄なく有効に活用しますから、エネルギーの利用効率は、70〜80 % と、高い値になります。従来の方式と比較すると、次のように、なります。
★ 燃料電池については、コラム 6.3-4 で、説明しました。
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照明の始まりは、焚き火 でしょう。人間が他の動物と、大きく異なる点は、二つあります。一つは、言葉 を持っていて、言葉によって、情報を伝えることが、できることです。
この、会話 による情報の伝達は、文字の発明にっよって、発展し、さらに、情報の担い手としての電気の利用である、通信へと、進んできました。また、情報の処理には、コンピュータが、使用されます。
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人間が、他の動物と異なる、もう一つが、火 を使うことです。人間以外の動物は、火を恐れます。人間は、その火を利用できます。このお話しの主題である、電気の、エネルギーの担い手としての利用も、この、火を利用することの、延長線にあると、言っても良いでしょう。
電気の、エネルギーの担い手としての利用の第 1 は、動力機器としての、発電機と電動機です。
そして、その 第 2 が、ここで述べる、照明 (あかり )です。照明は、現在では、多くが、電気による照明、すなわち電灯 を使用しています。
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照明に関連しては、コラム 2.1-8 で、色温度について、説明しました。ここでは、さらに、照明全般について、解説します。
◆ 照明は、基本的には、自然光 では、不足する明るさを、補うことにあります。しかし、照明は、このような、実用性のほかに、ムード を演出する効果も、無視できません(図 9.1-27)。図は、同じ対象を、照明の色を変えることによって、ムードを作り出しています。
◆ 照明は、その、ムード性から、いろいろな伝統行事 や、祭り にも、取り入れられています(図 9.1-28)。
◆ 照明は、量的には、明るさ で、評価されます。その、明るさには、発光体 (光源 )の、光の量 (光束 、lm ルーメン ) 光の強さ (光度 、cd カンデラ ) 単位面積当りの光束の量(輝度 、cd/m2)と、受光体 に入射する光の量(照度 、lx 、ルクス )、とが、あります(図 9.1-29)。ただし、ここで発光体とは、自ら光を発生する物体だけでなく、他からの光を受けて反射するなどして、光る 物体を含みます。
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照明は、定量的には、最終的に、どれだけの照度が、得られるかで、評価されます。ただし、上述のように、ムードを無視することは、できません。
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照明は、また、色が、大きく関係します。たとえば、照度が等しくても、色が違えば、ムードは、全く異なります。
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電磁波の内で、人の目に感じる波長の範囲の光を、可視光線 といいます。色 は、可視光線の波長が異なることによって、感じます。人の目は、光の波長によって、感じる光の強さが異なります。そして、可視光線よりも、波長が長い赤外線や、波長が短い紫外線(菫外線 )は、目に感じません(図 9.1-30)。
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可視光線の全ての波長の光を、太陽光と同じ割合で含むと、白色 に見えます。ただし、光の強さが弱いと、薄い灰色から、濃い灰色を経て、黒色 になります。この白さの度合いを、白色度といいます。
白色度 は、酸化マグネシウム標準白板の、光の反射量を100、真黒 を0として、光の反射量の割合により、定義される量です。
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色には、3 原色 があります。図 9.1-31 に示すように、発光体が発する色についての、色光の 3 原色 (光の 3 原色 、RGB )と、照明された受光体で、色を混ぜ合わせたときの、色料の 3 原色 (色の 3 原色 、CMY )との 2 種類が、あります。RGB は、赤 、緑 、青 で、CMY は、シアン 、マゼンタ 、黄 です。
いずれの場合も、3 原色を混ぜ合わせることによって、全ての色を、作り出すことが、できます。
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照明は、発光体を、発光させることによって、行いますから、RGB を例にとると、図 9.1-32 のように、なります。図は、人の眼の見え方を示しています。左側の図で、波長が短いところに、R の小さいピークがありますが、人の眼には、このように感じるということです。
図の左側のように、3 原色を混ぜると、白色に見えます。また、図の右側のように、緑と赤を混ぜたものも、もともと黄色のものも、どちらも、黄色に見えます。
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照明では、ありませんが、カラーテレビ は、原理的には、RGB の 3 原色を使用しています。ただし実際には、カラーテレビが、受信する信号は、生の 3 原色ではなく、(全体の)輝度信号 Y ( = 0.299R + 0.587G + 0.114B)と、2 つの色差信号 (R - Y) と、(B - Y) とを使用しています。この、受信した 3 つの信号を、RGB に変換して、カラーを出力します。
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プリンタ で、カラー写真 をプリントするときは、色料の 3 原色である、CMY 3 色のインク で、プリント することができます。ただし、実際には、画質を上げるために、これに黒色を加えて、少なくとも、4 色を使います。一般には、さらに、インクの色数を増やして、5〜6 色のインクを使用することが、多いようです。