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照明は、電気を利用するようになる以前から、私たちにとって、無くてはならない存在でした。家庭電気製品も、照明に次いで、早くから、生活に、密着した製品です。ただし、第 2 次世界大戦以前には、ラジオと扇風機ぐらいな もので、家庭電気 (家電 )という言葉も、ありませんでした。
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第 2 次世界大戦、さらに、戦後の時代をへて、やがて、高度成長時代 (1960年代前半、および、1960年代後半から 1970年代始め : 図の 橙色)に入ります(図 9.1-85)。高度成長以後も、なだらか ながら、成長は、続いています(下側の図)。
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それ以前の、ラジオ、氷冷蔵庫、たらい(図 9.1-86 の上段) に取って代わった、白黒テレビ、電気冷蔵庫、電気洗濯機 の 3 製品(図の中段)が、家庭電気として、登場します。家電の三種の神器 と呼ばれています。
図の中段は、家電三種の神器の、初期の製品です。これらの製品は、現在では、図の下段のように、改良され、デザインや、使い勝手が、改善されて います。
[注] 三種の神器は、天皇の皇位継承のしるしとして、代々の天皇に受け継がれている、三種類の宝物です。八咫鏡(ヤタノカガミ)・天叢雲剣(アメノムラクモノツルギ)・八尺瓊勾玉(ヤサカニノマガタマ)の 3 つをいいます。
◆ この、家庭電気の普及によって、主婦の負担は、急激に、減少しました(図 9.1-87)。
◆ その後に、普及した、カラーテレビ、乗用車(カー)、および、エアコン(クーラー)を、新三種の神器 (3C)と いいます(図 9.1-88)。この中で、乗用車は、電気製品では ありませんが、乗用車 には、電気電子の機器や部品を多数搭載しています。乗用車は、走る電子機器といっても、過言では ありません。
◆ ただし、最近では、新三種の神器は、さらに、デジタルカメラ、DVD レコーダー、薄形テレビ に取って代られたようです(図 9.1-89)。
◆ 家庭電気は、調理・生活家電 、AV ・情報家電 、健康・美容家電 、季節家電 の 4 つに、分類されます(図 9.1-90)。ここでは、先ず、調理・生活家電から、解説します(図 9.1-91)。なお、電子レンジについては、コラム 7.1-5 で、IH 調理器(IH クッキングヒーター、電磁調理器)の原理については、7.2.(2) でも、説明しましたが、ここで、さらに 一般的なことを含めて、解説します。
洗濯機 | 電気ポット |
衣類乾燥機 | 食器洗い機 |
電子レンジ・オーブン | コーヒーメーカ |
トースター | ミキサー・フードプロセッサ |
冷蔵庫 | 掃除機 |
ワインセラー | ふとん乾燥機 |
ホームベーカリー | ミシン |
IH 調理器 | アイロン |
ホットプレート | ズボンプレッサ |
炊飯器 | 生ごみ処理機 |
精米機 | _ |
◆ 電気洗濯機は、図 9.1-85 に示したように、早くから使用された、家電です。電気洗濯機 (洗濯機 )の種類を、図 9.1-92 に示します。最近の洗濯機は、全自動式洗濯機 が多くなっています。洗濯のやり方については、ここをクリックしてください(戻るときは、ブラウザの「戻る」を使用)。
◆ 電気洗濯機を、使用するときは、洗濯物の生地 によって、洗剤 や、洗濯 方法を選ぶ必要があります。このため、衣料 には、ポケットの内側など、目立たないところに、洗濯方法などを、指定するタグ (札)が、貼ってあります(図 9.1-93)。
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タンブル乾燥 (タンブラー乾燥 )というのは、強制的に乾燥させる方法の一種です。タンブル乾燥は、多孔円筒の装置内に、熱風を送り込み、多孔円筒を回転させながら、円筒内の衣類を、乾燥させます。
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これに対して、ドリップ乾燥という方式が、あります。ドリップ乾燥 は、衣類を脱水しないで、衣料の たて糸方向が垂直になるように、衣料の上端部分の数カ所をつかみ、室温で、風通しのない場所に吊るして、乾燥させる方式です。
衣料を、物干し竿 に吊るす乾燥は、ドリップ乾燥に相当しますが、通常、物干し竿での乾燥は、通風の良い場所で、乾燥させます。
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ついでに、衣類乾燥機 を示します(図 9.1-94)。中央は、洗濯機と衣類乾燥機との一体形です。ガス方式のものも、あります。右は、ふとん乾燥機です。このふとん乾燥機 は、本体から ふとん に、パイプで熱風を送ります。
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最近では、冷蔵庫は、特別なものを除いて、ほとんどが、電気冷蔵庫です。したがって、単に、冷蔵庫 と呼んでも、電気冷蔵庫 を意味することが、多いと思います。
電気冷蔵庫の原理を、説明します。液体 は、蒸発 して、気体 になるとき、熱を奪います。これを気化熱 といいます。逆に、気体が凝縮して、液体になるときは、熱を放出します。これを凝縮熱 といいます(図 9.1-95)。
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この、気化熱を利用して、物を冷やすのが、電気冷蔵庫です(図 9.1-96)。図では、気体を圧縮 して、凝縮させるのに、コンプレッサ (圧縮機 )を使用しています。コンプレッサで圧縮された気体 (1) は、コンデンサで熱を奪われて、凝縮し液体になります。この液体 (2) は、エバポレータ (蒸発器)で蒸発、吸熱して、冷蔵庫を冷やします。この気体は、サクションパイプ を通り (3)、コンプレッサで圧縮されます。
サクション とは、コンプレッサやポンプ の吸入側のことです。
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都市ガス等を使用する、ガス冷蔵庫 も、あります(図 9.1-97)。ガス冷蔵庫も、気化熱を利用していますが、コンプレッサによる循環ではなく、図に示すような、ガス吸収式 と呼ばれる、原理を、使用しています。
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ガス吸収式では、(1) 発生器で、水とアンモニアの混合液を加熱し、発生した混合蒸発ガスを、分離器に導きます。(2) 分離器で自然冷却します。水蒸気は水となり、吸収器に戻ります。アンモニアは、気体のままコンデンサーに向かいます。(3) コンデンサーで、アンモニアは放熱して、液化します。(4) 冷却器で、液化アンモニアは気化・吸熱して、冷蔵庫を冷やします。(5) 吸収器で、アンモニアガスは、水に溶け、再び発生器に戻ります。
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以上のほかに、電子式と呼ばれる方式も、あります。前記の 2 方式と違って、冷媒を用いません。
2 つの異なる金属を接触させて、これに直流電流を通すと、熱の発生または吸収が行われる現象があります。これを、ペルチェ効果 といいます(図 9.1-98)。
◆ 電子式電気冷蔵庫 は、このペルチペルチェ効果を利用して、温度を下げます。騒音がない等の利点は、ありますが、冷却効率が、よくありません。小型の自動車用冷蔵庫や、ワインセラー などに利用されています(図 9.1-99)。
◆ 最近の冷蔵庫は、冷蔵庫内が、複数の部屋に分かれ、それぞれの温度を独立、または半独立に、調整できるようになっています(図 9.1-100)。冷凍室 を持っているものが多いようです。冷凍室が無い冷蔵庫には、氷を作ることができる、製氷室 が、あります。
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冷蔵する食品は、食品の種類によって、冷蔵の適温が、異なります。庫内の部屋を、上手に使い分ける、と良いでしょう(図 9.1-101)。ただし、1 台の冷蔵庫が、図の全てのものを、持っているとは、限りません。
冷凍食品だけを収容する、独立した、冷凍庫 もあります(食品の冷凍については[ここ]と[ここ]をクリックしてください。戻るときはブラウザの「戻る」で戻ってください)。
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生肉 の、冷蔵温度は、4 ℃前後が、適温です。冷凍庫を利用して、生肉を冷凍する場合は、できるだけ、急速に冷凍させる、急速冷凍 が、必要です。アルミのトレーに載せて、冷凍するのが、良いでしょう。
解凍は、逆に、時間を掛けて、ゆっくり解凍する、緩慢解凍 が、こつ です。冷蔵室の中にいれて、時間を掛けて、解凍します。
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電気冷蔵庫は、休み無く使用しつづけます。上手に使えば、節電につながります(図 9.1-102)。
◆ 三種の神器に次いで、普及したのが、電気掃除機 (掃除機 )です(図 9.1-103)。電気掃除機は、基本的には、床を掃除する道具ですが、図に示すように、いろいろな、タイプが、あります。目的用途によって、選定しますが、好み も大きいと、思います。
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掃除のやり方については、[ここ]を、クリックしてください(戻るときは、ブラウザの上部の「戻る」を使用してください)。
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最近では、汎用のロボット が、出現しています(図 9.1-104)。図の犬のロボットは、一時 市販されました。しかし、汎用のロボットが、一般に使用されるには、まだ早いようです。
◆ しかし、掃除用のロボットは、実用の域に、達しており、お掃除ロボット の名で、市販されています(図 9.1-105)。
◆ 炊飯器 は、電気釜 の名で、親しまれている、製品です。米を炊くことは、ほとんど、毎日 繰り返される、仕事です。炊飯の要領は、「はじめチョロチョロなかパッパ、赤子泣いてもふたとるな」と歌にも歌われています。それでいて、お釜 と かまど による 炊飯(図 9.1-106の左)は、失敗も多く、なかなか、同じようには、炊き上がりませんでした。
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炊飯器は、セットして、スイッチをオンすれば、自動で、失敗無く、炊き上げ、さらに、保温も行ってくれます。マイコンで制御する、マイコン制御炊飯器 も、あります(図 9.1-107)。IH 式の炊飯器も、あります。
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炊飯器は、ご飯を炊く以外にも、各種の料理に、利用することが できます(ここをクリックしてください。戻るときは、ブラウザの上部の「戻る」を使用します)。
◆ ミシン は、昔は、足踏み式ミシン でしたが、最近では、電動式ミシン 、電子ミシン 、さらには、コンピュータミシン が多くなっています(図 9.1-108)。また、ミシンの使用目的も、実益から、趣味へと、移り変わっています。
◆ ミシンの縫う原理は、下記の通りです(図 9.1-109)
◆ ミシンでは、普通の縫い方の他に、いろいろな縫い方が、できます(図 9.1-110)。ミシンの使い方についての詳細は、ここをクリックしてください(戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用)。