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電球は、照明器具 に、取りつけて使用します。照明器具は、実用的には、必要な個所に光を集めて、照明の効率を、高めることに、役立ちます。
ムードは、照明の、重要な要素ですが、照明のムードは、電球 そのものよりも、照明器具によって、作られます。
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ここでは、照明器具と、照明器具を使用した照明について、説明します。
照明を、そのやり方のよって分けると、図 9.1-66 のようになります。すなわち、全般拡散照明 、直接照明 、半直接照明 、半間接照明 と、間接照明 に分けられます。
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照明器具を、その取り付け位置によって、分類すると、図 9.1-67 のように、なります。照明器具を、取り付けを、図 9.1-68 に示します。照明器具の、名称のつけ方は、2 つの図の、出典が異なりますから、一致していません。
また、天井や壁などと、一体化させた、建築化照明が、あります。
◆ 昔は、電灯といえば、ほとんど、ペンダント (図 9.1-68 の 4 )か、ブラケット (図 9.1-69 の 5 )でした(図 9.1-68)。ペンダント、ブラケットと言っても、一般に使われて いたものは、写真のような代物で、図 9.1-67 に示したような、モダンなものでは、ありませんでした。ただし、シャンデリア など、装飾的なものは、昔から、豪華なものが、ありました。
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その他、照明器具は、図 9.1-67 に示したように、シーリングライト 、スタンド 、ダウンライト 、フットライト 、スポットライト などが あります。エクステリアライト は、屋外灯の総称です。
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屋内照明 は、最低は 1 室に、1 灯あれば良いわけです。昔は、 1 室、1 灯が、原則でした(図 9.1-69 の左上)。最近では、より良い照明やムードのために、1 室に、2〜3 灯設けることも、多くなっています(図 9.1-70)。点灯するランプを変えることによって、部屋のムードが、変わります。
◆ とくに、ダイニングルーム は、食事 を中心として、部屋を、多目的に使用しますから、照明も、それに応じて、変化を持たせるように、します(図 9.1-71)。リビングルーム も、同様です。
◆ 食事は、光源の種類によって、食物の感じが、変わります(図 9.1-72)。この意味で、食卓 のところに、ペンダントを設けて、食卓を照明することが、有効です。
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店舗 では、照明の良し悪しが、商品の売上に、結び付きます。この意味では、店舗の照明は、一般家庭の照明よりも重要です。店舗の照明は、一般的な照明と、商品 の照明とに、分けられます(図 9.1-73)。全般的な照明は、次に述べるオフィスなどの照明と、大差ありません。ここでは、商品の照明に、絞って、説明します。
なお、当然ながら、全般的な照明と、商品に対する、局部的な照明とは、相互に関連しています。
◆ 商品の照明は、基本的には、商品の正しい姿を見せることです。しかし、その枠内で、商品の購買意欲 をそそる、演出も、必要です。商品照明の基本を、図 9.1-74 に示します。
◆ 商品の購買意欲を そそる ためには、商品の、色、形 、質感 を出すことが、重要です。当然、商品によって、最適な照明は、異なります。商品の、色、形、質感を出すための、照明の原則を、まとめると、図 9.1-75 のように、なります。
◆ これを、さらに、商品の種類別に、具体的に示します(図 9.1-76)。
◆ ここで、オフィス とは、事務 や、軽作業 を行う場所とします(図 9.1-77)。オフィスといっても、大きなオフィスから、ソーホー に至るまで、いろいろ あります。ここでは、図の左のような、本格的なオフィスを、取り上げます。
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オフィスの照明に要求される特性には、
(1) 輝度分布
(2) 照度
(3) グレア
(4) 光の方向性
(5) 色
が、挙げられます。
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(1) オフィスにおける、輝度分布は、バランスが取れていることが、重要です。バランスの取れた室内の輝度分布は、視覚特性を向上させ、視的快適性にも影響します。輝度は、室内各面の反射率 と照度で決まります。主な室内の反射率は、図 9.1-78に示す、推奨値にすることが、望まれます。
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(2) 次は、オフィスの照度です。オフィスの照度は、多くが、600 〜 750 lx に、なっています。照度が、高いことは、それ自体は、障害には、なりません。しかし、省エネの立場から、適切な照度が、存在します(図 9.1-44)。
オフィスにおける、電力消費の、約 30 % は、照明です(図 9.1-79)。この値は、学校に次ぎ、百貨店と同等です。
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従来、照明は、照度に むら が無い、均一な照明が良いと、されてきました。照明学会 の、オフィス照明基準(1992 年)では、「机上面に相当する高さでの、水平面照度の変化は、できる限り少ないことが望ましく、その均斉度(最小照度/平均照度)は、0.6 以上にする必要がある」としています。
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照度の むら は、とくに、グレアが問題になります。グレア とは、不適切な輝度によって、不快感や視覚の低下を生じさせるような、まぶしさ のことです(図 9.1-80)。夜間に、車を運転していて、対向車のヘッドライトによって、歩行者を見損なうのも、グレアです。
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グレアは、勿論好ましくない現象ですが、均一な照明は、作業にとって、必ずしも最良では、無いようです。作業個所を、周囲よりも、明るくすることが、精神の集中に、役立ちます。
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省エネの立場から、オフィスで、不均一な照明を用いることを、タスク アンビエント照明 といいます(図 9.1-81)。 アンビエント照明 で、全般を照明し、とくに必要な個所を、タスク照明 で、周囲よりも、明るくします。タスク アンビエント照明によって、作業の対象を、周囲よりも明るくすることは、省エネの効果だけで無く、上記のように、作業に対する集中度を、高くする作用が、あります。
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上図右下の写真で、事務机に、タスク照明のための、電気スタンドが、あります。
タスク アンビエント照明による、節電の効果を、図 9.1-82 に示します。タスクアンビエント照明は、それ自体の節電効果に加えて、照明器具からの、発熱量の減少が、空調 の負荷を少なくしますから、2 重の効果が、あります。
◆ オフィスの照明は、作業効率の面を考えれば、良いわけです。しかし、人を集める場所は、ムード性を、考える必要があります。このような、場合に、有効なのが、建築化照明です。建築化照明 とは、光源を天井や壁などに組み込み、建築構造 と一体化させた、照明方式のことです(図 9.1-83)。
◆ 建築化照明は、家庭の照明にも、取り入れられています(図 9.1-84)。右側の例は、建築化照明では、ありませんが、建築化照明の、考え方を、取り入れた、ものです。
★ 家庭 、マイホームは、だんらん の場です。昔は、3 世代の家族 は、普通でしたから、一家だんらん は、にぎやかでした。今は、核家族 化が進んでいますから、昔のような、だんらん は、無くなっています。
★ 昔、だんらん を支えたのは、囲炉裏 です。現在では、囲炉裏の生活は、無くなりましたが、その郷愁から、炉端焼き が、盛んです。
★ それだけでは、ありません。だんらん と言うこと、それ自体が、郷愁の対象となっています。だんらん の名を冠した、いろいろな、商品や、企画が、出て います。列車にも、だんらん号が、あります。お座敷列車 と呼ばれ、社内で、パーティを開きます。
★ さて、一般家庭における、照明は、本文でも、いくつか、紹介しました(図 9.1-67、図 9.1-70、図 9.1-71)が、ここに、少し、まとめて、見ましょう。
★ 一般家庭に、限りませんが、照明は、大きく、2 つの要因によって、評価されます。経済性と、演色性です。経済性に優れていても、演色性が悪いと、用途が、限定されます。経済性は、また、イニシャルコスト、すなわち価格と、運用コスト、すなわちランプの発光効率 (ランプ効率 )に、分けられます。
★ 家庭内における、消費電力量の比率は、下図のとおりです。照明は、支配的な要因では、ありませんが、無視できない、大きさです。
★ 各種光源の、ランプ効率を下図に示します。ランプ効率は、電力消費量 当り の 明るさ で、ルーメン / ワット(lm / W)で表されます。
図には、発光ダイオードが入っていませんが、白色発光ダイオードのランプ効率は、約 50 です。
★ 現在、家庭で多く用いられている、白熱電球と、蛍光灯とを比較すると、
となります。とくに、ムードを重視する場合には、演色性の点で、白熱電球を使用することが、望ましいときが、あります。しかし、蛍光灯を使用するほうが、省エネに繋がります。
★ 蛍光灯には、いろいろな、演色性のものが、あります。最も、普通に使われているのは、下の 3 種類です。白熱電球に近い、電球色のものも、あります。
★ 照明で、もう 1 つ重要なことに、配光が あります。配光 とは、照明器具や光源から、どのくらいの強さの光が、どの方向に出ているかを示したものです。また、光の強さとその方向を曲線で表現したものを配光曲線 と呼びます。下図左は、水平方向に、均一な配光を持つ光源、右は、不均一な配光を有する光源の配光曲線の例です。
★ 照明器具と、配光の関係を、以下に、示します。
★ 部屋によっては、明るさを変えられる、調光器を使用すると、便利です。一般の調光器は、白熱電球用ですが、蛍光灯用のものが、あります。また、逆に、調光用の蛍光灯も、あります。
★ 家庭内各所の照明例を、示します。ダイニングルームの照明例は、すでに、示しました(図 9.1-71)。
下は、リビングルームです。ダイニングルームと同様に、複数灯 使用するのが、有効です。
★ 次ぎは、寝室です。寝室 は、就寝時には、天井照明 は、消灯します。天井照明の他に、読書などのための、ベッドの枕もとを照らす、ブラケットライト、または、スタンドを設けます。右側の写真は、消灯しているので、ちょっと 分かり難いですが、窓際に、スタンドが あります。
◆ 下は、個室 です。左は、間接照明の例です。間接照明は、通常 壁を利用しますが、これは、天井を利用した例です。右は、スタンドを活用した例です。
★ 子供部屋 は、子供の成長や、子供の人数の増減に、対応する必要があります。この意味では、柔軟性が、要求されます。また、子供が、小さいときは、親の目が届く位置にあることが、必要です。これを、考えた部屋の配置例と、照明の例を示します。
★ キッチン の例を、示します。上側は、ダイニングキッチン です。
★ 浴室 の照明は、要注意です。照明器具は、防水性のある、浴室用のものを、使用する必要が、あります。また、照明器具の位置にも、注意しなければ、なりません(図の上側)。図の下側は、浴室・洗面所 の照明例です。
★ 玄関 は、来客の印象を決める、大切な場所です。
★ 以上、洋室 について、見て きました ので、今度は、和室 です。現在では、和室は、ほとんどが、居間 か、客室 でしょう。和室は、シーリングライトか、ペンダントが、多いと思います。ブラケットも、用いられます。
★ 床の間 が、ある場合には、床の間を照明します。床の間には、たれ壁 がありますから、照明器具は、露出形 の器具を、使用することが、できます。
★ 下は、和風玄関の、内と外の例です。
★ エクステリア 照明の概要を示します。
★ エクステリア照明は、防犯 に、役立ちます。これを、さらに、進めたものが、侵入検知システムです。侵入検知システ ムは、侵入者が、侵入したことを検出し、警報することのほかに、侵入者に対して、「侵入検知システムがあるから侵入できないぞ」と言うことを、悟らせる効果が、あります。