◆ 季節家電 には、次のようなものが、あります(図 9.1-226)。
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ここで、エアコン (空調 )は、ルームエアコンのことです。以降、ルームエアコン を、エアコンと呼びます。エアコンは、エアコンディショナー の略ですが、フルネームで呼ばれることは、あまり ありません。
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家庭では、ルームエアコン(個別冷暖房タイプ)が多く用いられていますが、このほかに、1 つの室外機で、複数の部屋を空調するマルチタイプエアコン (図 9.1-227の左)や、セントラル冷暖房タイプエアコン (図の右、図は ビル用)もあります。セントラル冷暖房タイプエアコンは、ビルで使用されているタイプ(図は、水蓄熱式の例、氷蓄熱式もあります)ですが、セントラル冷暖房タイプエアコンの家庭版もあります。
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エアコンは、通常、暖房機 (ヒーター )と冷房機 (クーラー )の両方の機能を持つものを、指しますが、冷房専用のものを含めて、エアコンと呼ぶことも、あります。
日本の夏は、北海道などを除いて、蒸し暑く過ごし難いので、ルームエアコンの普及率は、高くなっています(図 9.1-228)。図から分かるように、平均して、一家に 2 台です。
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北海道などの、寒冷地では、標準のエアコンでは、暖房能力が不足します。1 ランク能力の高いものを使用するか、暖房時に、石油バーナー を用いて、暖房能力を強化した、寒冷地用エアコン (図 9.1-229)を使用します。
エアコンの選び方 などについては、[ここ]をクリックしてください(戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。
◆ 最も一般的な、エアコンの原理は、ヒートポンプ です。ヒートポンプの原理は、ヒートポンプの名は、用いませんでしたが、図 9.1-96 に示しました。図 9.1-96 は、ヒートポンプを冷却に使用した例ですが、ヒートポンプは、どちら側を、熱源に使用するかによって、加熱と冷却の両方に、使用することができます(図 1-9-230)。
◆ したがって、ヒートポンプ式エアコン は、冷房 と、暖房 の両方を行う、エアコンに、適した方式です(図 9.1-231)。
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エアコンは、消費電力が大きいので、省エネが重要です。省エネは、日常の心掛けも必要ですが、効率の高い製品を使用することが、基本です。この意味で、エアコンは、インバータ方式が、優れています。エアコンの製品は、多くがインバータ方式です。
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エアコンは、省エネの立場から、省エネラベリング制度が設けられています。省エネラベリング制度については、[ここ]をクリックしてください(戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」をクリックしてください)
省エネラベルは、図 9.1-232 に示すラベルです。
◆ エアコンの室内機 (図 9.1-233)は、その取りつけ位置によって、据え置き形エアコン (図の左)、壁掛け形エアコン (図の中)、窓取り付形エアコン (図の右)、建物にはめ込むビルトイン形エアコン (図 9.1-234)などがあります。据え置き方と壁掛け形は、室内機と室外機 とに分かれています。窓取付け形は、室内機、室外機の区別が無い、一体形です。壁掛け形エアコンが、最も一般的な、タイプです。
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エアコンは、消費電力が大きいので、節電の効果が、大きいのです。また、身体に感じる暑さ寒さは、温度だけでなく、湿度が関係します。したがって、温度だけでなく、湿度をコントロールすることが、大切です(図 9.1-235)。
エアコンは、図に示すように、除湿 の効果があります。
◆ 人が、体に感じる温度は、気温だけでなく、湿度 、 風速 、輻射などの影響を、総合した結果です。これを、体感温度 といいます(図 9.1-236)。
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たとえば、室温が 30℃で、壁の温度が 20℃なら、体感温度は、25℃です。
人が心地よく暖かいと感じるのは、床・壁・天井からの輻射による ところが大きいのです。この輻射熱を受けて、暖かさを感じるとき、人は 「快適感」を得ることができます(図 9.1-237)。
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不快指数 と呼ばれる指標もあります。 不快指数 = 0.72 (気温 + 湿球温度) + 40.6 です。不快指数は、値が大きいほど、不快の程度が大きく、不快指数 100 は、全ての人が、不快と感じる状態です。
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湿球温度というのは、図 9.1-238 の左側に示すように、感温部を、ガーゼで湿らせた温度計で計った温度です。普通の温度計で計った乾球温度(図の左)と、湿球温度(図の右)とから、湿度を求めることが、できます。
気温と湿度から、不快指数を求めるグラフを、図の右に示します。
◆ 快適さ は、温度だけでなく、温度差 も関係します。たとえば、冷房の効いた室内と屋外、暖房の効いた部屋と効いていない廊下などで、温度差を感じます。この温度差は、身体に、いろいろな負担を与えます。大きな温度差を作らないように、注意する必要が、あります。温度差については、[ここ]をクリックしてください(戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。
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扇風機 は、多分、最も古くからある家電です。1832 年(天保 3 年)に出版された柳亭種彦の「諺紫田舎源氏」の中に、団扇(うちわ)を放射状に取付けた、手で回すものが、あります。1885 年(明治 18 年)には、特許登録された、「納涼団扇」があります。原理的には、現在のものと、ほとんど、同じだそうです。
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その後 1890 年(明治 23 年)、エジソンによって、電気でファンを回すことが試みられ、1893 年(明治 26 年)には、扇風機が発売されています。日本では、1894 年に、第 1 号機が作られました(図 9.1-239)の左側、右側は、現在の扇風機(スタンド形)です。
◆ 扇風機は、エアコンにお株を奪われた感もありますが、エアコンとは異なった良さがあり、現在でも、活躍しています。
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照明が、焚き火からスタートしたのと同様に、暖房 も、焚き火からスタートしました。最近は、安全の問題もあって、暖房も、火を使うことが少なくなっていますが、火は、採暖ということだけ無く、郷愁を そそる ものが、あります。この意味では、火を使った暖房は、魅力のある暖房です。
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しかし、最近では、安全と、手軽さ から、電気式の暖房が、多くなっています。
ストーブ は、暖房用の器具ですが、ヒーター は、加熱するもの一般の名称です。しかし、ここでは、ヒーターは、暖房用に、限定し、ストーブと同様な意味で使用します。ストーブの種類を、熱源の種類によって分けると、図 9.1-240 のようになります。すなわち、電気ストーブ、石油ストーブ、ガスストーブ、薪ストーブなどです。
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また、建築化された暖房として暖炉 (図 9.1-241)や、床暖房 があります。左側の暖炉は本当に火を燃やす暖炉、右側は電気を使った暖炉です。床暖房は、床全面を発熱体とした暖房です。床暖房については、[ここ]をクリックしてください。
床暖房というと、家屋の新築時でないと駄目なように思われますが、既設の建物に設置できるものも、あります[ここ]をクリックして下さい)(戻るときは、どちらも、ブラウザ上部の「戻る」をクリックして下さい)。
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建築化暖房という言葉は、使われていませんが、建築化照明に、なぞらえて呼べば、床暖房や暖炉は、建築化暖房 ということに、なります。
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ストーブは、火災 の原因として、大きな比重を占めています。「ストーブ火災の傾向と対策」については、[ここ]をクリックしてください。「石油ストーブなどの安全な取り扱い」は[ここ]を、「石油ストーブ・石油ファンヒーターによる事故事例集」は、[ここ]をクリックしてください。また、さらに広く火災事故一般については。[ここ]をクリックしてください(いずれも、戻るときはブラウザ上部の「戻る」を使用して下さい)。
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電気ストーブ (図 9.1-242)は、火を使わないので、この意味では、安全です。また、電気ストーブは、空気を汚さないという メリットが、あります。電気ストーブの選び方は、[ここ]をクリックして下さい(戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。
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しかし、電気ストーブの機種によっては、電気ストーブに、近づけたり、触れたりした物の、引火点や発火点を上回る、高温の部分が発生します。その場合には、近づけたり、触れたりした物が、引火し、または発火する可能性が、あります。
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引火と発火の意味については、[ここ]をクリックしてください(戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。
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セラミックファンヒーター (図 9.1-243 の左側)は、室内の冷たい空気を吸い込み、発熱体(セラミック)で暖め、ファンによって、吹き出し口より温風として吹き出して、部屋を暖める、暖房機です。ファンで、温風が直接でてくるため、体に温風があたれば、すぐに暖かいと感じます。立ち上がりの速さを求める場所に向いています。
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遠赤外線ヒーター (図 9.1-243 の左から 2 番目)は、遠赤外線を放射して、放射によって暖房します。放射ですから これも 即暖姓があります。
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オイルヒーター (図 9.1-243 の中央)は、パネル内に充填された特殊なオイルを、ヒーターで温めることによって、パネル全体を暖め、その輻射熱と、自然対流とで、部屋全体を、まんべんなく、暖めます。パネルの温度が上がるまでに、時間が掛かります。パネルの表面温度が低いので、火傷の心配が、ありません。
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ハロゲンヒーター (図 9.1-243 の右端 および その左)の熱源は、ハロゲン球です。ただし、図左側のものは、球状ではなく、棒状です。照明用のハロゲン球とは、異なり、遠赤外線を放射します。放射ですから、スイッチをオンして、わずか 1〜2 秒程度で、器具の正面に、暖気が発生します。
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石油ストーブ (広義)は、灯油 を燃料とする暖房機です。図 9.1-244 のような種類があります。
◆ 図 9.1-245 に、石油ストーブ(狭義)の、強制対流式石油ストーブ 、自然対流式石油ストーブ 、放射式石油ストーブ を、示します。
◆ 図 9.1-246 は、左から順に、自然対流式石油ストーブ、石油ファンヒーター 、FF式石油ストーブ です。
◆ ガスストーブ (図 9.1-247)は、使用すガスの種類(都市ガス 、LP ガス 等)に適合する機種を選ぶ必要があります。図の右側は、屋外用ガスストーブ です。
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LP ガスは、LP ガスボンベ を使用します(図 9.1-248の左側)。しかし最近は、LP ガスも、バルクシステム を使用するようになってきました(図の右側)。
簡単に携帯できる、カセットガスボンベもあります(図 9.1-121 参照)。
◆ 薪ストーブ (図 9.1-249 の左)は、薪 を燃料とします。木材を加工した、ペレット (図の中央)を使用する、ペレットストーブ (図の右)も、この分類に入ります。
[図 9.1-249] 薪ストーブ ペレット ペレットストーブ
★ 高原の朝 目を覚まし 窓を開けて外を見たとき、ガスが掛かって、ちょっと霞んでいるのは、気分が良いものです。しかし、ガスにも、いろいろあります。人体から放出されるガスは、いただけません。
★ ここは、ガス はガスでも、都市ガス の お話し です。ガスは、始めは、ガス灯として、照明に用いられました(コラム 9.1-5)。ガスが、熱源として調理に用いられるようになったのは、1900 年(明治 33 年)になってからです(下図)(エネルギー源 全般の歴史については[ここ]をクリックしてください。エネルギー資源の種類については{ここ}をクリックしてください(どちらも、戻るのは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。
★ 都市ガスは、以前は石炭 を乾留 して作っていました(下図)。
しかし最近では、都市ガスは、ほとんどが天然ガス です。日本の天然ガス産出量は、微々たる物です。ほとんどが、海外からタンカー (LNG 船 )で運んできたものです。
★ 世界のエネルギー消費量 は、下図のとおりです。
★ 天然ガスを含む石油系のエネルギー消費量の伸びが、著しいことが分かります。また、天然ガスなどは、これを加工して、石油化学製品 として、衣と住にも、大量に消費されています。肥料を介して、食料にもなります。
★ 石油化学工業 は、高度成長の象徴として、急激に発展しました。ただし、大量消費の結果として、環境問題を引き起こしたのは、ご存知のとおりです。環境問題の一つとして、大量の炭酸ガス発生による、温室効果があり、地球温暖化が、問題になっています。
★ 将来的には、資源の枯渇も、問題になります。