電気と電子のお話

9. 電気・電子機器

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9.1. 電気機器

9.1.(5) 家庭電気

9.1.(5-C) 健康・美容家電

9.1.(5-C-e) 電動アシスト自転車と車椅子

◆  電動アシスト自転車 は、電池を積んでおり、モータによって、走行することができます(図 9.1-208)。図の右は、折り畳み式です。
電動アシスト自転車は、ペダルを踏んで走行しているときや、坂道を下っているときに、電池を充電し、坂道を登るときなどに、モータによって走行を補助します。

[図 9.1-208] 電動アシスト自転車

電動アシスト自転車       電動アシスト自転車

◆  電動アシスト自転車は、法規上は、自転車です。原動機付自転車 は、免許がいりますが、電動アシスト自転車は、免許が、いりません。またヘルメットも要りません。
原動機付自転車と電動アシスト自転車との違いは、次のとおりです。
◆  通常、自転車のペダルにはチェーンが掛かっています。電動アシスト自転車では、このチェーンに連動してセンサーが組み込まれています。センサーは自転車に乗る人のペダルを踏み込む力や、ペダルの回転数を感知し、これに応じて電動モーターが作動し、走行を補助するようになっています。
◆  道路交通法 で、人がペダルを漕ぐ力と、電動モーターによるアシスト力(補助動力)の比を、人力 1 に対して、アシスト力は、最大でも 1 までと規定しています。つまり、駆動力全体に対するアシスト力の比率は最大でも 50 %です。
しかし、大きな力で踏み込めば、大きなアシスト力が掛かります。これのおかげで、坂道を、楽に登ることが、できます。
◆  スピードの出過ぎを防ぐために、時速15km以上になると、電動モーターによるアシスト率が、徐々に下がり、時速24km以上ではアシスト率は0%になるように、道路交通法で規定されています。つまり時速24km以上では人間の力だけで走ることになります(図 9.1-209)。

[図 9.1-209] 電動アシスト自転車の走行モード

電動アシスト自転車の走行モード

◆  ただし、坂道を下るときなど、自走によって、時速 24 km以上になることは、制限されません。坂道を下るときなどの、速度を抑えるためには、一般の自転車と同様に、ブレーキを掛ける必要が、あります。
◆  道路交通法の規制対象外で、アシストではなく、フル駆動で自走するものも、あります。その代表的なものが、自走式車椅子 (電動式車椅子 電動カート )です(図 9.1-210)。図の左は手動式の車椅子 、中は電動式車椅子、右は電動カートです。

[図 9.1-210] 車椅子

車椅子       電動式車椅子       電動カート

9.1.(5-C-f) ドライヤー類

◆  ドライヤー類 は、多くは、ヘアドライヤーです。ここでも、ヘアドライヤー について、説明します(図 9.1-211)。図の右は、カールドライヤー です。

[図 9.1-211] ヘアドライヤー

ヘアドライヤー       カールドラーヤー

◆  最近は、マイナスイオンタイプのものが多くなっています。イオンヘアドライヤー の原理を図 9.1-212 に、ヘアドライヤーの使い方を図 9.1-213 に示します。

[図 9.2-212] イオンヘアドライヤーの原理

イオンヘアドライヤーの原理


[図 9.1-213] ヘアドライヤーの使い方

ヘアドライヤーの使い方


9.1.(5-C-g) 電動歯ブラシ

◆  電動歯ブラシ (狭義)(図 9.1-214)は、電気で、歯ブラシ の刷毛を、高速に振動(図の(a))または回転(図の(b))させます。このため、手で磨くよりも、歯磨きが楽です。ただし、その効果は、丁寧な手磨きを、上回ることは、ありません。

[図 9.1-214] 電動歯ブラシ

_電動歯ブラシ       _電動歯ブラシ      _電動歯ブラシ       _電動歯ブラシ      _電動歯ブラシ


_電動歯ブラシ

◆  図 9.1-125は、推奨される歯ブラシの形状です。歯をきれいに磨くためには、歯磨き (練り、または粉)は、不要です。正しく ていねいに 磨けば十分です。ただし、歯磨き無しで磨いていると、歯を純白に保つことができず、また、爽快感が得難いですから、磨き終わりのときに、少量使用しても、良いでしょう。

[図 9.1-215] 歯ブラシ

歯ブラシ

◆  歯と歯磨きに関するお話しは、[ここ]を、電動歯ブラシの詳細は、[ここ]をクリックしてください(どちらも、戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。
◆  電動歯ブラシ(広義)は、大きく 3 種類に分けられます(図 9.1-216)。
第 1 は、ブラシが電気で振動する振幅式(図 9.1-216 の(c)、図 9.1-213 の(a))、あるいは回転式図 9.1-216 の(b)、(図 9.1-214 の(b)で、この 2 つが、狭義の電動歯ブラシです。
第 2 は、ブラシが高速で振動する、音波歯ブラシ (音波振動式歯ブラシ )です(図 9.1-216 の(a)、図 9.1-214の(c))です。
そして第 3 は、ブラシのヘッドから超音波の振動が発生する超音波歯ブラシ です(図 9.1-213の(d))。
また、このほかに、水を断続噴射するジェット水流式電動歯ブラシ もあります(図 9.1-214 の(e)(f))。

[図 9.1-216] 電動歯ブラシの種類

電動歯ブラシの種類
9.1.(5-C-h) 整水器、浄水器

◆  浄水器 は、水を浄化して、飲用に適するようにします。浄水器の名称は、公式には、水道水 の中に含まれる残留塩素 や、トリハロメタン などの物質を、除去または減少させる機器のことです。法律や規格基準によって定められています。
家庭用浄水器 (図 9.1-217、左側は据置タイプ)は、活性炭 のもつ多孔質な表面で、化学反応や吸着力をはたらかせ、残留塩素やカルキ臭 カビ臭 有機物 を取り除き、ろ過膜 中空糸膜 )で、一般細菌やカビ類、赤サビなどを取り除きます(図 9.1-218)。

[図 9.1-217] 家庭用浄水器

家庭用浄水器       家庭用浄水器


[図 9.1-218] 家庭用浄水器の機能

家庭用浄水器の機能

◆  浄水器は、ろ材 によって、活性炭式浄水器 ろ過膜式浄水器 逆浸透膜式浄水器 セラミック式浄水器 に分けられます(図 9.1-219)。図 9.1-128 は、活性炭式+ろ過膜式の例です。

[図 9.1-219] 浄水器の種類

浄水器の種類

◆  整水器 (活水器 )は、浄水器のように、法的な規定は、ありませんが、整水器と呼ばれているものは、通常、浄水器の機能に加えて、何らかの整水機能を持つ製品です。たとえば、アルカリイオン整水器 は、アルカリイオン水 を生成します。アルカリイオン整水器の詳細は、[ここ]をクリックしてください。
◆  この「アルカリイオン整水器の詳細」の中で、「電解水」の言葉が でてきますが、「電解水 」については、[ここ]をクリックしてください(戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」を使用してください)。

9.1.(5-C-i) 温水清浄便座

◆  温水清浄便座 は、用便後の お尻を、温水で洗浄してくれる便座です。
ここでは先ず、便器のお話しから始めます。便所 (トイレット トイレ )は、昔は水洗式便所ではなく、汲み取り式便所 でした(図 9.1-220)の普通便所。図に示すように、水洗式になる過程で、無臭便所 や、簡易水洗式便所 があります。

[図 9.1-220] 便所の変遷

便所の変遷

◆  しかし、最近は、ほとんどが、水洗式便所 です(東京では、東京オリンピックが契機です)。水洗式便所の、便器 の形式は、3 つあります(図 9.1-221)。腰掛便器 和風便器 および、小便器 です。
便器と便所についての詳細は、ここをクリックしてください(戻るときは、ブラウザ上部の[戻る]を使用してください)。

[図 9.1-221] 便器の形式

便器の形式

◆  便器の形式は、昔は、和風便器と小便器との組み合わせでしたが、最近では大小兼用の、腰掛便器になっています。腰掛便器の普及は、公団住宅に負うところが、大きいのです(公団住宅 は、ここをクリックしてください。戻るときは、ブラウザ上部の「戻る」をクリック)。
図 9.1-222は、昔の大名の便所(左)とタイの象の便所(右)です。

[図 9.1-222] 大名の便所と大名の便所

大名の便所        大名の便所

◆  水洗式便器 の、水が流れる しくみ を、図 9.1-223 に示します。

[図 9.1-223] 水洗式便器の水が流れる しくみ

水洗式便器の水が流れる しくみ

◆  便座 は、腰掛便器に用いられます。この便座に、暖房機能が付いているのが、暖房便座 、暖房便座に、さらに、お尻の洗浄装置が取りつけられているのが、温水洗浄便座です(図 9.1-224)。

[図 9.1-224] 暖房便座と温水洗浄便座

暖房便座と温水洗浄便座

暖房便座と温水洗浄便座

◆  最近の便座は、自動化が進んでおり、便利に使用できます(図 9.1-225)。

[図 9.2-225] 自動された温水清浄便座

自動された温水清浄便座


[コラム 9.1-16] 水

★ 私たちは、水に囲まれて、生活しています。水 無くして 生きることは、できません。

海

★ 地球 (下図)は、太陽系 でただ1つ、水と生物が存在する惑星 です。広い宇宙ですから、宇宙全体では、水と生物が存在する天体は、他にも、あると思いますが。

_地球       _火星

★ 火星(上図)にも、水が あった 痕跡が残っているようですが、現在では、死の世界です。しかし、昔は、火星に火星人が住んでいると、想像されたことも あります。
★ 上の火星の写真の下のほうに、直線状の筋があります。これを発見した G・スキアパレリが、イタリア語で、細い線を意味する カナリ と名付けたものを、カナル(運河)と誤訳されたことに、起因します。
★ 巨大な運河を作ることができる、高等な生物が住んでいる、と思われて、しまったのです。火星人の想像画は、蛸のような姿です(下図)。運河を作った生物としては、ありにも 原始的に過ぎます。

_想像の火星人       _火星の地表

★ 現在では、宇宙探査機が、火星に着陸いて、火星の岩石を分析し、地表の写真を送ってきています(上図)。水が流れた痕跡らしいものが見えます。
★ さて、水は、化学式では、H2O です。しかし この H2O は、純水と呼ばれるものであり、私達が日常接している水は、常水 と呼んでいます。常水には、各種の微量成分を含んでいます。この微量成分によって、おいしい水や、まずい水になります。上記の微量成分は、無機物で、これを、ミネラル と呼んでいます。
適度の微量成分を含んだ水が、いわゆるミネラルウオーター です。

ミネラルウオーター

★ 浄水器は、不純物を取り除きます。浄水器を通した水や、純水 は、おいしくありません(純水は、飲んでは いけません)。これは、おいしい成分も、取り除いてしまうからです。
この欠点を補ったものが、たとえば、アルカリイオン整水器です。
★ 最近の水道水は、地域にもよりますが、総じて、不味くなっています。これは、水道水の水源の水質が、以前よりも、悪くなっているからです。元の水質の悪化に加えて、消毒のための、塩素の量が増えています。
浄水器や整水器の需要が増えているのは、この理由によります。
★ 海水 が、塩からいのは、上図のように、大量の、ナトリウムイオンを含むからです。
死海の塩分は、普通の海よりも濃いことは、有名です。

死海       死海

★ この、海水が塩辛い理由は、微量の塩分を含んだ川水や地下水が、海に流れ込み、太陽熱で水分が蒸発することを、長年月繰り返し、次第に塩分が濃縮されたことに、よります。

水の循環

★ 死海は、他の太洋と切り離されており、熱帯地方であるために、水分の蒸発が盛んで、特に、塩分濃度が高くなったのです。




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