◆ 自動制御 (フィードバック制御) は、あらゆる分野で広く利用されています。フィードバック制御は、たとえばエアコンで、室温を一定にする制御です。
フィードバック制御は、もともとは、アナログの技術でした。最近ではマイコンによる、ディジタル化が進んでいます。
今や自動制御技術は、すべての技術者にとって必要な技術となっています。
◆ この講座は、フィードバック制御について、予備知識がない人でも理解できる、入門と実用の講座です。
フィードバック制御について、てっとりばやく、要点をつかみたい人は、第 1 章だけを読んでください。
この講座では、パソコン用のシミュレータを使用して、制御系のシミュレーションを行っています。フィードバック制御の知識や経験がある人で、自動制御系のシミュレーションを学びたい人にも、大いに役立ちます。
シミュレーションは、自動制御系の解析や設計にきわめて有効な手段です。
ただし、この講座で使用しているシミュレータのソフトは、古いので、現状では、実際に使用することは、できません。
この講座は、読者が、自分でシミュレータを使用して、シミュレーション行うことができるように、書かれていますが、現状では、それは不可能です。
◆ フィードバック制御の基本は、PID 制御です。この講座は、PID 制御が中心です。アナログ制御とディジタル制御の両方について、解説してあります。
具体的内容は、目次を参照してください。
◆ 入門、実用向けのフィードバック制御の参考書として、筆者はこれまでに、下記の図書を出版しています。
これらのうち、(c) はプロセス制御の分野に特化した内容です。
(a)〜(b) の2冊は、総合的な自動制御の入門、実用書です。
この2冊は、読者自身で実験しながら学べるのが大きな特長です。すなわち、パソコン (PC9801) をコントローラとし、プリント基板に搭載した電子回路 (OPアンプ回路) を制御対象として、制御実験を行うことができます。
しかし、現在では「実用学/応用学」の本自体が品切れの状態で、プリント基板も入手できなくなっています。
この講座は、内容はかなり異なりますが、上記 2 冊の本に代わるものです。
◆ 最近では、パソコン上で動作する、アナログ回路シミュレータが、容易に入手できます。アナログ回路シミュレータを利用すれば、パソコンだけで、簡単に自動制御系の実験を行うことができます。
上記の2冊の本の内容項目を絞り、アナログ回路シミュレータによる実験を中心として、全面的に書き改めたものが、この講座です。
なお、当初、連載web講座として掲載したものを、全面的に検討し直して、再編集してあります。
また、図面をカラー化することが、読み易くするために、非常に有効なことが、分かりましたので、図面をカラー化しました(4.4.21)
この講座では、シミュレータによる制御波形を豊富に載せています。
自動制御の理論は難解です。しかし、この講座では、制御波形を目で見ることによって、直感的に理解することができます。
◆ 最近は、自動制御も、ディジタル化が進んでいます。使用しているシミュレータは、アナログ回路シミュレータですが、ディジタル制御系の解析・設計も、容易に、かつ便利に行うことができます。
この講座では、アナログ回路シミュレータを利用して、ディジタル制御系の解析、設計を行う手法を紹介し、その実際を示しています。
この講座には、「ケーススタディ」があります。ケーススタディは、読者自らが、シミュレーションを行うことによって、一層、理解を深めて頂くためのものです。
しかし、現在では、シミュレーションソフトを入手することが、できません。「ケーススタディ」は、残してありますが、役には立ちません。
◆ シミュレータは、SPICE を使用します。SPICE は、代表的なアナログ回路シミュレータで、自動制御にも、たいへん使いやすい便利なツールです。
アナログ回路シミュレータですが、アナログ制御はもちろん、ディジタル制御も容易に取り扱うことができます。
この講座で使用しているシミュレータは、パソコン (Windows 95/98) で動作する、OrCAD社 (旧MicroSim社) の Pspice Release 8 (機能限定版) です。連載講座を開講した当時は、無償で容易に入手できたので、これを採用しました。
しかしその後状況が大きく変わりました。OrCAD 社は、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社に合併されました。Pspice は、バージョンアップされましたが、新バージョンは、Pspice Release 8 との互換性がなく、Pspice Release 8 用に作成したプログラムは、そのままでは動作しません。
現在では Pspice Release 8 は、日本ケイデンス・デザイン・システムズ社からは、入手できません。
◆ SPICE は、汎用性が高いシミュレータであり、各社から発売されています。それらを使用して、この講座のシミュレーションを行うことができます。
ただし、同じ SPICE の名が付いていても、版が異なれば、互換性はありません。
この講座で使用している SPICE のプログラムを、そのまま、モディファイ無しで、動かすためには、 Pspice Release 8 が必要です。しかし、現状では、入手できません。
[注]
この講座では、シミュレーションに、Laplace 変換形を使用しています。したがって、使用するシミュレータは、Laplace 変換形をサポートしている必要があります。
◆
Pspice Release 8(機能限定版)は、以前は、CDROM の形で頒布していましたが、現在は、頒布を行っていません。
講座の本文は、読者自らが、SPICE を使用できるように、書かれていますが、実際には、できません。ご了承ください。
ただし、講座の内容は、読者が、手持ちの、シミュレータソフトを使って、自分でシミュレーションプログラムを作るときの参考になります。