A4判 412ページ
発行日 1996年10月(初版)
著者 宮崎誠一
発行所 新技術開発センター
● この本は、電子機器、電子回路のノイズ対策について総合的に解説した実用書です。
● 今や、エレクトロニクスの時代です。電子機器は、民生用、産業用を問わず、広く随所に使われています。また、電子回路は、各種の電気製品や機械製品に組み込まれています。
● この便利な電子機器、電子回路にも大きな泣き所があります。ノイズに弱く、ノイズによって誤動作してしまうことです。サージ(強烈なノイズ)によって、素子が破壊されることもあります。また、機器が出すノイズによって、他の機器を誤動作させてしまうことも大きな問題になっています。
●ノイズは電磁気の法則に従って起きるアナログ的な現象です。ノイズの現象を理解し、対策を行うにはアナログの技術が必要です。
● しかし、実際に現場でノイズに悩まされているのはアナログ技術者だけではありません。ディジタル技術者や、機械技術者など電子回路の専門以外の技術者でも、ノイズ対策の知識を切実に必要としています。
● この本は、アナログ回路になじみが薄いディジタル技術者、機械技術者などでも、電子回路の初歩的な予備知識があれば理解できるように、分かりやすく説明を行っています。
● 電子機器、電子回路は、外部からのノイズによって妨害を受ける被害者となります。機器や回路が妨害を受けないノイズ耐性を、イミュニティといいます。
● また、電子機器、電子回路は、ノイズを発生して他の機器や回路に妨害を与える加害者にもなります。ノイズを出して他に妨害を与えることをEMI(Electro Magnetic Interfarence)といいます。
● 電子機器、電子回路のノイズ問題は、加害(EMI)、被害(イミュニティ)の両面を総合して対策を講じることが必要です。これをEMC(Electro Magnetic Compatibility)といいます。
● この本は、加害(EMI)、被害(イミュニティ)の両者をそれぞれ解説するだけでなく、総合的なEMC対策について解説を行っています。
概 略 目 次 | 詳 細 目 次 |
第1章 プロローグ
この本の導入部です。
ノイズ対策は、きわめて多岐にわたっています。この章でノイズ対策のポイントを示し、全体を概観することによって、第2章以下の各論の位置付けが分かるようにしています。また、基本となる、信号とノイズの性質を示します。
第2章 ノイズ発生源
この第2章と第3章で、ノイズ対策の一般的な基礎を解説します。
ノイズは、どこかで発生し、伝わり、それを受けて障害が生じます。この章は、ノイズの発生源について、その発生場所および対策を示します。
第3章 ノイズの伝達、放射とノイズ耐性
さらに、ノイズを受ける部分の耐性を説明します。
ノイズは、信号とともに電子回路を伝わります。また放射の形で空中を伝わります。この両者について、その伝わり方と対策について解説します。
第4章 グランドと電源
この第4章から第8章までは各論です。ノイズ対策を行う場所ごとに、その固有の問題を示します。
この章では、グランドと電源のノイズ対策を説明します。グランドは、本来ノイズのないきれいな場所のはずです。しかし実際は、ノイズを発生させ、ノイズを伝える重大な犯人です。また、電源もノイズの巣です。どちらも見逃しがちですが、最も注意しなければなりません。
第5章 ケースとケース内配線
機器のケースは単なる箱ではなく、放射ノイズを防ぐ有用な手段です。しかし、ケースの穴からノイズが漏れます。穴の対策が重要です。
ケース内配線は軽視しがちですが、ノイズ対策上重要なポイントです。
第6章 プリント基板
電子回路は、ほとんどがプリント基板に搭載されています。その意味で、プリント基板のノイズ対策はノイズ対策の中心です。
この章では、プリント基板内配線のノイズ対策について解説します。
第7章 回路技術によるノイズ対策
回路上のノイズ対策です。プリント基板内の問題ですが、重要なので独立した章にしてあります。
アナログ回路とディジタル回路とでは状況や対策が大きく異なります。それぞれ解説してあります。また、アナログ〜ディジタル変換回路には、固有の問題があります。
第8章 インターフェース
インターフェースは異なる回路の接点であり、機器外部にまたがることも多く、ノイズ問題が多い場所です。その対策も多岐にわたります。
第9章 ノイズ対策用部品
ノイズ対策用の部品について説明します。ノイズ対策用部品については、他の各章でもそれぞれ関連する部品を解説しています。これらとの重複は避けてあります。この章にすべてのノイズ対策用部品が網羅されているわけではありません。
第10章 ソフトウェアによるノイズ対策
電子機器、電子回路は、マイコン内蔵などコンピュータ化が進んでいます。ソフトウェアによるノイズ対策も有効であり、活用する必要があります。
一方、ソフトウェアで処理する内容をLSIにして、ハードウェア化することも多くなっています。この章では、ソフトウェア処理できる内容を示しています。実際にはハードウェア化、LSI化されているものも多くあります。
なお、シミュレーションの活用についても、便宜上この章で説明します。
第11章 ノイズ規制
ノイズによる障害は重大な問題ですから、法的な規制があります。これらのノイズ規制について示します。
従来のノイズ規制は、加害者に対するEMI規制が主体でした。しかし、最近では被害者としてのノイズ耐性、イミュニティの確保を義務づける規制も行われています。
従来は、ノイズの被害者としてラジオ、テレビを想定すればよかったのですが、最近は、加害者、被害者ともに多様化しているためです。
第12章 ノイズ測定とノイズシミュレータ
ノイズ対策を進めるためには、ノイズ測定が重要です。ノイズ測定には、一般的な測定器も使用されます。ここでは、ノイズ対策に固有な測定器と測定方法について解説します。
イミュニティの測定には、ノイズを注入する必要があります。しかし、実際に発生しているノイズを利用する方法は実用性がありません。人工的に模擬ノイズを発生させて利用します。これがノイズシミュレータです。
現実に多く問題になっている種類のノイズを発生させる各種のノイズシミュレータを示します。