洗足池の地域一帯は、湧水の多いところです。少し足をのばして、いくつかの湧水を探ってみます。
この地域から北および西は、広く関東ローム層に覆われています。東は海、南は多摩川が近く、これらの低地に向かって流れる川は、深くえぐられています。このため急な坂が非常に多い地帯です。このような地形から、湧水が多いのでしょう。
各々の写真をクリックすれば、拡大写真が見られます。
東京都環境局では、都内の主要湧水30個所について、毎年2回、調査を行っています。この30個所の内、3個所が上記の地図に含まれています。
しかも、2つはすぐ傍です。「清水窪」と、「東調布公園」です。そして、もう一つが等々力の「不動の滝」です。
清水窪は、すでに洗足池の源流として紹介しました(第2回)。
ただし、付け加えなければならないことがあります。写真の滝水は、最近水量が少なくなったため、池の水を循環させているそうです。池の中にも湧きだしていますから、洗足池に流れ込む水量は、ある程度あります。
東調布公園は、野球場、屋外/室内プールなどがある、スポーツ公園です。
また、児童交通公園にはゴーカートがあり、SLや消防車(写真中央)も展示されています。
手前の流れは、湧水を引いたものです。
湧水がある付近は、水神の森と呼ばれたところです。
湧水は、2個所から湧いています。写真の池の壁と、もう一箇所は池の裏手すぐの所です。この裏手の湧水は、池の右側から池に流れ込んでいます。
池の中にも湧いており、水量は豊富です。その水は、公園内の「流れる川」に流しています。
[注] 今年の東京は空梅雨で、晴天、猛暑が続いています。このため、湧水に異変が起きています。上の写真は6月に撮ったものです。7月に入って行ったときは、池の水が涸れていました。公園内の植え込みも、一部枯れています。
不動の滝は、等々力渓谷にあります。等々力渓谷は、東京23区内、唯一の渓谷です。両岸とも急な崖で、都会の中とは思えない別天地です。
水量も豊富で、きれいな水が流れています。
ここは、環八より下った所で、不動の滝に近いところです。
[注] 等々力渓谷は、等々力駅を出て、ちょっと南のゴルフ橋から階段を下ってゆきます。
ただし、今道路工事中で、ここからは入れません。さらに南下して、環八を過ぎて最初の通りを右折して、坂を下ります。
渓谷も、環八から北は、通行止めです。通行止めの区間に、渓谷美の優れた場所がありますが、今回は紹介できません。
両岸とも、随所に豊富な湧水があります。
ここでは、湧水を竹樋で導いて、利用できるようにしてあります。水質も都が、飲用適と認めているのでしょう。
超フレッシュで、しかも無料のミネラルウォーターです。人が並んで、次々と水を汲んでいます。
昔は、滝の音が遠くまで轟いていたことから、等々力の地名が生まれました。
しかし今では、すっかり水量が減っています(とくに今年は)。
行者が滝に打たれる修行場です。滝のすぐ下流には、修行場の建物があります。
等々力渓谷は、このすぐ下流で終わり、開けた川になります。
不動の滝から登ったところに、等々力不動があります。目黒通りに正門があります。
等々力不動は、桜の名所でもあります。写真の左手を下り、渓谷沿いの所です。
六郷用水は、1597年から15年ほど掛けて作られた灌漑用水路です。多摩川から狛江市(現)で取水され、世田谷区を経て大田区に至っています。
その名残が、丸子川です。しかし、丸子川も、多摩川台公園の辺りで自然消滅します。
用水は、中原街道を過ぎる所から復元しています(写真)。この水は湧水によるものです。
六郷用水(地図の青点線)の数百m下流(多摩堤通手前)に、水車があります。
この水車は、灌漑用の足踏み式水車を復元したものですが、今はモータで回しています。
揚水という目的から考えると、この水車は、回転方向が逆で、取り付け方も、おかしいように思われます。
六郷用水は、このあと、細くなり、かつ断続します。流れのある所は湧水利用です。
はじめ多摩堤通にほぼ並行しますが、鵜の木の手前から左に折れて、坂を登ります。坂上に小公園があります。これは小公園にある解説です。当時は、この辺は深く掘削されていたようです。
坂を下り、環八を過ぎります。以降は、ほぼ環八に並行します。流れは無くなりますが、所々に案内板があります。
六郷用水は、途中でいくつかに分流します。
これは、分流の一つで、池上に向かっています。
この辺は、千鳥町流れる川と呼び、水が流れています。この水も湧水です。
ただし今年は、写真のように、水が涸れています。
地図などで調べると、厳島神社になっていますが、現地の表示では弁天神社となっています。この辺を散歩していて見付けました。
写真の塔は、池の水を循環させています。調べた範囲では、湧水としての記載は見当たりません。
池の水は、湧水に起因しているとは思いますが。