掲載誌 計測自動制御学会論文集 第10巻 第1号
発行日 昭和49年2月
著者 宮崎誠一、大田徳二
● 1974年に計測自動制御学会論文集に発表した論文で、翌年に同学会の論文賞を受賞しました。
以下、要旨を引用して紹介します。
● 昭和43年から、千代田化工建設、富士電機製造、富士通の3社共同で、「化学プロセスの計数制御に関する研究」を通産省の補助金を受けて行った。
● 計算機としては、FACOM 270-25とFACOM-Rとを使って実用のDDCシステムをまとめ、ソフトウェアの汎用性と適用しようとするプロセスへの追従性、さらにシステム(とくにオペレータコンソール)の操作性などについて検討し改良を加えた。
● その中で、DDCシステムの特徴の1つである「アドバンスト制御の容易なこと」を確認するために、状態変数を使ったフィードバック形の最適制御の研究を行った。
● 化学プロセスの制御をDDCで行うこと、またそのシステムの中での最適制御の意義などについては文献を参照していただくこととして、ここでは、すでに多くの理論的研究のなされている最適制御理論を、営業用プラントよりは少し小さいけれども、かなりの規模の模型プラントに適用したので、そのための手順と作業を進めたときに気づいた問題点について報告する。
● 本研究は、次のような順序で進めた。
(1) 蒸留塔のモデルプラントを建設し、静特性と動特性の実験を行った。
(2) 蒸留塔の静特性と動特性を算出するシミュレーションプログラムを作った。
(3) DDCのシステムプログラムを作り、それを使って標準的な制御実験をした。
(4) 最適制御理論を調査し、フィードバック形の理論を採用した。
(5) 非線形のモデルを線形化し、操作変数が2つの方程式にまとめた。
(6) 線形モデルの妥当性を吟味するため、その答が(2)の答と合うことを確認した。
(7) 最適制御に必要な、行列の方程式を解いた。
(8) DDCシステムに、最適制御ループを組み込むプログラムを作った。
(9) モデルプラントでDDCによる最適制御実験をして、満足のできる結果を得た。
(10) シミュレーションにより、最適制御の特性を調べた。